分析レポート

VALUENEXの解析ツールを使って、当社が独自に分析している様々なレポートをお届けします。ぜひご活用ください。

 

2019.07.17.

+「感情計測」から「感情制御」へ ‐新たな時代へと進む心理学‐

今、「心理学」が改めて注目されている。2017年には行動経済学者のRichard H. Thalerがノーベル経済学賞を受賞した。日本国内でも2016年頃からのアドラー心理学の流行や、公的な動きとして2017年に公認心理師法が施行されるなど注目度は高い。民間企業においても各種メーカー、特に自動車メーカーなどを中心に製品開発に積極的に心理学的知見を取り入れ始めている。 一口に心理学的知見といっても生理指標から社会的な総合作用に関するものまで様々なものがあるが、最も重要なものは何であろうか。本レポートでは「感情」に注目する。先に挙げた行動経済学は経済における感情の重要性を明らかにした。従来の経済学ではホモ・エコノミクス(Homo Economicus)と呼ばれる常に経済的合理性に基づいて判断する人間を前提としてモデルが作成されてきた。しかし、数々の実験によりしばしば人間が非合理的な判断を下すことが示されてきた。代表的な例としては最後通牒ゲームが挙げられる。このゲーム(というほど楽しいものではないが)では、ある2人組に一定金額の報酬が与えられる。その報酬に対して分配者(A)は自分と相手(B)の取り分の分配額を提案し、BはAの提案を受け入れるか、拒否するかを選択する。BがAの提案を受け入れると、両者ともそれぞれの分配額を得ることができるが、BがAの提案した金額を拒否した場合には2人とも何も受け取ることができない。例えば1万円を報酬として受け取った場合、Aにとって最も合理的な選択は1円のみをBに分配することであり、Bにとっては分配金額がいくらであろうと提案を受け入れることが合理的な選択となる(何も受け取れないよりはマシであるため)。したがって、Aにとっては1円という最小金額以外を提示する合理的な理由はない。しかし、実際には50%以上のケースでAは半額を分配する提案を行う。Aは極端に低い金額を提示することでBの気分(感情)を害してしまい、提案を拒否されることを恐れて非合理的な提案をしてしまうのである。 このように、感情が人間の行動に影響を及ぼす例は枚挙にいとまがない。心理学が、人間を人間たらしめているものを探求する学問であるとするならば、感情が人間を理解する上で非常に重要な要因となるのは間違いない。本レポートでは、感情に関連した技術の動向を俯瞰することで、心理学が向かう未来についての示唆を得ることを目的とする。なお、本レポートでは感情を、「人間が何らかの対象に対して抱く気持ち」および「解が1つに定まる合理的な判断以外の判断を引き起こす心理的要因」と定義する。


2019.07.03.

+経営統合するトヨタホームとパナソニックホームズの技術シナジー

2019年5月、トヨタホーム(非上場)およびトヨタホームが筆頭株主であるミサワホーム(1722)とパナソニックホームズ(非上場)およびパナソニック傘下の松村組とパナソニック建設エンジニアリングの5社が経営統合し、2020年1月からプライム・ライフ・テクノロジーズという新会社を立ち上げることを発表した。その背景には今後確実に訪れる人口減少による市場縮小での生き残りだけでなく、移動サービスを含めた街づくり事業の強化が狙いであるとされている。国内の大手住宅メーカの総販売戸数(2017年)を見ると、トヨタホーム、パナソニックホームズ、ミサワホームの3社は上位にランキングされているものの、大和ハウスと積水ハウスの2強には及ばない。ただしこれはアパートやマンションを含むもので、戸建てのみに着目すると業界トップクラスになり、マーケット的には優位性が出るものと考えられる。一方で、これらの企業が経営統合することで、技術的にはどのようなシナジー効果が得られるのであろうか。 そこで、今回経営統合が発表された5社の技術ポートフォリオについて、2001年以降に公開された日本国公開特許公報をもとに分析を試みた。なお、トヨタホームは2003年にトヨタ自動車から分社化されたため、それ以降に出願あるいは2003年以前に出願され権利がトヨタホームに移譲されたものが対象となっている。


2019.06.19.

+はやぶさ2の成功に続くか?日本の宇宙開発

最近、日本の人工衛星「はやぶさ2」による小惑星「リュウグウ」への着陸と岩石サンプル取得成功との報道があった。2010年の「はやぶさ」による「イトカワ」への着陸に続いての宇宙航空研究開発機構(JAXA)による成果である。またインターステラテクノロジズ株式会社による国内民間企業初の観測ロケットMOMO3号機の打ち上げ成功など、日本国内での近年の宇宙開発に、活発さを感じる。 一方、世界に目を移すと、2017年にイーロンマスク率いる米国スペースX社による再利用ロケット「ファルコン9」の第1段機体の世界初の着陸成功のニュースがあった。また2019年に中国の無人探査機「嫦娥4号」による世界で初めての月の裏側への着陸など日本の遥か先を行く成功が続いている。 そこで、本レポートでは今後の日本における「はやぶさ2」に続く宇宙開発動向を調査すべく、日本国内における宇宙開発関連特許の公開公報を基に分析を行った。分析には、VALUENEX株式会社が提供するテキストマイニングによる俯瞰ツールTechRadarを用いた。


2019.06.05.

+共同出願および引用情報を用いた大学発技術の活用に関する分析

大学や公的研究機関、あるいは民間企業が研究開発・技術開発を行った成果は、特許や論文として公開されることが一般的である。そのなかでも複数組織が共同で行った技術開発は、共同執筆(特許の場合は共同出願)という形をとることが多い。また、有用な研究・開発成果は他の企業・大学が研究・技術開発を行う際に、先行する研究・技術として引用される。このため、各種特許や論文の共同執筆や引用を把握する事で、どのような研究・技術が活用されているのかの一端を把握することが可能になると考えられる。 そこで、本稿では、特に大学による研究・技術開発の活用状況について、特許の共同出願状況や発明者引用情報(以下、単に引用情報とする)を用いた解析を試みた。


2019.05.22.

+日本の橋が落ちる! 国内73万の道路橋をどうやって点検するか。

沈下橋で有名な、高知県四万十市の岩間大橋に破損が見つかり、通行止めになったのが2017年11月のこと。四万十市は、他の8つの沈下橋の緊急点検を実施し、支障が確認された他の2つの橋について通行制限や通行止めの措置を行った。そして、岩間大橋の通行止めは現在も続いている。 国内のインフラの多くは、1960年代から80年代の高度経済成長期に整備された。道路橋を例にとると、長さ2m以上の道路橋約73万橋のうち、建設後50年以上を経過するものは、2018年3月時点で約12万橋(このほか約23万橋が建設年度不明)であり、その数は年々増加している(図1)。岩間大橋も、建設から51年が経過していた。 老朽化したインフラ設備のメンテナンスが今後深刻な問題となることはかねてから指摘されていたが、5年に1度の定期点検を義務付けるように道路法改正がなされたのは、中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故が起こった2012年の翌年のことであった。この定期点検は「近接目視」(土木技術者等による現地での点検)が基本であり、さらに橋によっては足場が必要となるため、管理主体にとって大きな負担となっている。その道路橋の管理主体はほとんどが地方自治体であり、市区町村の管理する橋は66万に及ぶ。


2019.05.08.

+下町ロケットの再現:AgriTech(アグリテック)が進む日本農業

昨年、TBSで放送されていた大ヒットドラマ『下町ロケット』は記憶に新しい。新年にもSPドラマが放送され、目にした方も多かったのではないだろうか。かくいう著者もその中の一人である。今回のシーズンでは農業がフォーカスされており、「日本農業を救いたい」「おいしいお米を消費者に届けたい」という信念のもと、無人トラクタの開発・販売に向け様々な壁を乗り越えて行く姿に涙を誘われた視聴者は多かったであろう。 かつて、日本にとって欠かすことのできなかった農業であるが、現在は少子高齢化の余波を受け、危機的状況に陥っている。農林水産省によると、2018年の農業就業人口は175.3万人(前年比:96.5%)と 1995年の半数以下であり、65歳以上の占める割合は68.4%(120.0万人)に上る(図1)。日本の農業は深刻な労働力不足とそれに伴う技術継承の難しさに直面しているのだ。つまり、ドラマの中だけでなく、現実世界でも農業の高齢化は深刻な問題なのである。しかし、こうした危機的状況を解決する手段として注目が集まっている取り組みがある。アグリテックだ [1] 。アグリテックとは「農業」を意味する「Agriculture」と「技術」を意味する「Technology」を組み合わせた造語であり、AIやIoTといった科学技術を農業に活用し、作業の効率化やシステム化を行うことを意味する[2]。ドローンによるセンシング技術や、農薬・肥料といった供給物の情報を取得し収穫量を管理する技術、そして『下町ロケット』で活躍した無人トラクタもアグリテックである。近年、米国や中国でも注目されている、まさに最先端の農業といえよう。 そこで、本書では、このアグリテックの技術領域の中にはどういったプレーヤーが存在し、そのプレーヤーごとにどのような特色があるのか、そしてアグリテックの技術領域に新規参入している企業の特許を紐解くことで、今後どのような企業がアグリテックに関わってくるのかを考察する。


2019.04.17.

+ブロックチェーンが描く未来とは

仮想通貨バブルに沸いた2017年から一転し、2018年は仮想通貨バブル「崩壊」の年となった。代表的な仮想通貨であるビットコインは1年間で70%以上値を下げ、投機対象としての価値を大きく下げた[1]。  その一方で、仮想通貨のコア技術であるブロックチェーンに関する技術開発は勢いを失っていない。ブロックチェーン関連の特許は年々増加しており、実用、実証例も仮想通貨を中心とする金融業界にとどまらず、様々な用途に使われ始めている。例えば、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングは2018年にブロックチェーンを利用してワインの生産から販売までを管理する「ワイン・ブロックチェーン」の実証実験を開始している[2]。  本レポートではブロックチェーン関連特許の近年動向を俯瞰解析することで、今後ブロックチェーン技術が向かっていく方向性、その応用可能性について有用な示唆を得ることを目的とする。


2019.04.03.

+250兆円市場「空飛ぶクルマ」の覇者は誰か?

自動車業界がにわかに騒がしい。2018年10月、トヨタ自動車(7203)とソフトバンク(9984)が新会社を設立し、次世代MaaS (Mobility as a Service)の普及を宣言したのは記憶に新しい。それだけではなく、エリア限定の完全自動運転(レベル4)に向けた実証試験が着々と行われている。また、電動自動車についても、国外に比べると出遅れた感はあるが、確実に電動化へと向かっている。  2016年のパリモーターショーにおいて、ダイムラーAG・CEOのディエター・チェッチェ氏が上記の動きを予見し、「CASE」と表現したことがいよいよ現実になりつつある。 「CASE」の定義をもう一度確認しておくと、Connected(コネクティッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェア&サービス)、Electric(電気自動車)の頭文字をとったキーワードである。  しかし、この4つの流れに加えて、SFの話ではなく、「空飛ぶクルマ」すなわち、Sky carの「S」が加わり、「CASES」になろうとしている。「空飛ぶクルマ」の市場は世界で250兆円 とも言われ、参入を表明する企業は日々増えており、ボーイングやアストンマーチンなどの航空機メーカ やドローンメーカの参入が本格化しつつある。その流れを受けて、政府も「空の移動革命に向けたロードマップ(案)」を2018年12月に作成し、民間の実証試験と合わせて、制度や体制の整備の準備を始めている。ロードマップ(案)によれば、「空飛ぶクルマ」は2023年を事業スタートの目標としており、4年後には「空飛ぶクルマ」を見ることが珍しくない世の中になっているのである。  こうした大きな変化がある中で、「空飛ぶクルマ」という名前から自動車メーカがそのまま、空を制することができるかと言えば、そうはならない可能性がある。本レポートでは技術の側面から、新たなる空の覇者の可能性を検証する。なお、「空飛ぶ車」と表記している記事や文書もあるが、本レポートでは「空飛ぶクルマ」と表現している。


2019.03.20.

+オリンピック種目に追加されたサーフィンの関連技術分析からみえてきたこと

2016年8月、リオデジャネイロで行われた国際オリンピック委員会(IOC)総会において、2020年の東京オリンピックでサーフィンが初めてオリンピック競技になることが承認された。さらに今年2月、2024年のパリオリンピックでも追加種目候補となり、サーフィン競技は一躍注目を浴びている。  国内ではややマイナーなイメージがあるサーフィンであるが、世界では、米国やヨーロッパなどを中心に参加人口は以前から拡大基調にあり、世界の参加人口は3500万人とも4000万人ともいわれている(それゆえ、オリンピックにも採用されたといえよう)。国内でも、近年参加人口の低迷が危惧されていたものの、オリンピック種目採用後、2018年8月都内に人工サーフィン施設『Citywave Tokyo』がオープンし、千葉県でも大規模な人工サーフィン施設が計画中であるなど、サーフィン参加人口拡大への期待が高まっている。 ここで、サーフィンの道具に目を転じてみると、残念ながら、参加人口の多い米豪の海外勢ブランドが主流となっているのが実情である。スポーツ用品は作りこみが必要な製品であり、中でもサーフボードは、ライダーのレベルや体格等の他、使用する自然状況なども加味する必要があるため、カスタマイズがより重要となってくる。すり合わせを得意とし、モノづくりに軸足をおく日本での技術開発はどうなっているのであろうか。 本レポートでは、サーフィンに関連する技術開発動向を、特許情報に基づき概観し、オリンピックへの採用を契機に期待される技術の動きについて紹介する。 なお、分析にはVALUENEX株式会社が提供するテキストマイニングによる俯瞰解析ツールTechRadarを用いた。


2019.03.06.

+GAFAの隙間をつく

日本のGDPは4,949(10億ドル) で世界第三位、富裕者層の数も約300万人 であり、やはり世界第三位である(図1)。それにもかかわらず、世界の成長率ランキングでは、ワースト7に入っている。低成長の国には、ジンバブエ、ギニア、ガボン、パプアニューギニア、コンゴ、ハイチ、コートジボワール、ジャマイカ、北朝鮮のような、そもそもお金がないために経済が成長しない国々が並んでいる(図2)。この中に日本が入ることは、もはや先進国ではないのではないかと思えてくる。統計上は富裕国であるにもかかわらず、経済が発展しないのは、この20年間、企業がリスクを恐れて成熟した既存分野にのみにお金を消費し、新しい分野への先行投資を行ってこなかった結果であろう。また、お金があるのに経済成長が低いことの恐ろしさは、将来、確実に訪れる経済不況に対して危機感が見えにくいことだ。とくに日本の大企業に所属している者にとって、国内に留まるルーチン業務に従事していると、海の向こうで起きているダイナミズムに触れることがない。大型船を信頼して乗船しているような状況なのだろう。その船の行く末に待ち構える嵐を気にしている乗員がどれだけいるのか心配である。


2019.02.20.

+アリババのグローバルなIPポートフォリオと傾向

中国巨大EC企業として知られているアリババによるグローバルな買収劇が注目を集めている。近年、EC事業だけでなく、リアル店舗の展開、物流、フィンテック、クラウドコンピューティング、ビッグデータ活用、ヘルスケア関連など、様々な事業分野で活発にM&A等の投資活動が行われている。「米中欧日に次ぐ経済圏を構築する」というアリババのビジョンの実現には、グローバルな知的財産戦略と研究開発が欠かせない[1]。 図1に、今回の調査対象としたアリババ社のグローバルな特許出願件数を示す。年々、特許件数は伸びており、特にこの5年間の増加が著しい。各国の特許出願件数から見ると、2017年以後の特許公開件数は2016年までの累積特許公開件数に匹敵するほどの伸びである。各国で比較すると、これまでの特許出願件数に占める2017年以降の特許出願件数の比率は韓国で最も高く(81%)、日本で最も少なく(39%)なっている。  本レポートでは、①アリババグループの特許を俯瞰分析し、注力領域を抽出した。②アリババ特許出願のトレンドを俯瞰図上に確認した。③俯瞰分析に基づいて、アリババにおける各国の技術領域を比較した。分析には、VALUENEX株式会社が提供するテキストマイニング俯瞰分析ツールDocRadarを用いた。


2019.02.06.

+任天堂VSコロプラ訴訟:保有特許から明かされる戦力差、コロプラが取れる対抗策とは

ここ数年でゲーム市場は大きく姿を変えてきている。かつては任天堂(7974)、ソニー(6758)、マイクロソフトといった家庭用ゲーム機メーカーが業界を主導し、そのゲーム機に対応したソフトをソフトメーカー各社が販売するというのが主流だった。しかし2012年頃から日本ではスマートフォンが普及し始めたことを契機に、スマホが家庭用ゲーム機から主役の座を奪い去ってしまった。ファミ通ゲーム白書[1]によると2008年に国内ゲーム市場全体の2割程度だったオンラインプラットフォーム(PC、モバイル端末)の規模は、2012年に約5割、2017年には約8割まで成長している。さらにこの10年ほどで国内ゲーム市場全体の規模も倍増している。つまり今、ゲーム市場の主戦場はスマホなのだ。 また、近年はゲーム業界での特許登録件数が急増している。2008年~2012年に公開された件数が2841件に対して、2013年~2017年は5011件とほぼ倍増した。特許の急激な増加に伴い、各社の特許は複雑な抵触関係を形成している。こうした状況は、スマートフォンが登場する前から事業を営み、関連する特許技術を充実させてきた任天堂のような企業に比較的有利で、最近台頭した新興企業にとっては極めて大きなリスクとなっている。 特に最近は任天堂とコロプラ(3668)の訴訟が話題となっている。2017年12月、コロプラの人気ゲーム「白猫プロジェクト」が任天堂の保有する特許を侵害しているとして、任天堂は事業の差止と44億円の損害賠償を求める訴訟を東京地方裁判所に起こした[2]。この訴訟で任天堂の主張が認められれば、コロプラは極めて大きな損害を被ることになる。 本レポートでは、任天堂とコロプラの訴訟を事例として分析することにより、今後同じような状況に立たされる新興企業は訴訟に備えて何をするべきかを明らかにする。具体的には、任天堂とコロプラの保有する特許をVALUENEX俯瞰解析ツールTechRadarの新インターフェース(UI2.0)により分析し、問題になっているとされる特許[2]、任天堂とコロプラの保有特許の位置関係、さらに両社の数的な勢力関係などから、事件が起こったメカニズムと今後コロプラが取るべき打ち手を考察する。


2019.01.23.

+日本国内におけるIoT分野技術動向 ~広域ファセット分類記号ZITからみる日本国内IoTの隆盛~

昨今IoTつまり、Internet of Things(以下IoT)という単語が使われ始め、過去ITが導入されていなかった産業領域にまでウェブの世界が侵食し、IoTによるリアル世界のウェブ化が世の中を席捲している。ハードからソフトへ、モノ売りからコト消費へ、そうした時代の変遷の中に私たちは生きている。今後この分野において特許数としても盛り上がりを見せることが予想される中、特許庁においても2016年11月から、IoT関連技術に関して、横断的な分類である広域ファセット分類記号「ZIT」を新設し、日本の特許文献に対して付与を行うことを決めた。 本レポートでは、上記IoT関連技術に関する日本国公開特許に基づいて、技術動向を紹介するとともに、隆盛を見せている分野の確認、またそこから今後の展望ついても予想をする。分析には、VALUENEX株式会社が提供するテキストマイニングによる俯瞰解析ツールTechRadarを用いた。


2019.01.09.

+ 高精度測位社会を担うRTK測位技術とその展望 ~センチメートルオーダーの測位技術が切り開くビジネス領域 ~

人工衛星からの信号を用いたGNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)の測位技術は、ここ20年ほどの間に我々の生活の中で欠かせないものとなった。スマートフォンアプリでの位置情報利用の普及により、GNSSという言葉を聞き慣れていない人であっても、例えばその一種であるアメリカ合衆国の人工衛星測位システム・GPS(Global Positioning System)は誰もが知るところである。日本でも準天頂衛星システム・QZSS(Quasi-Zenith Satellite System, 通称:みちびき)の打上げにより、今後は日本近辺では常にQZSSの衛星が天頂付近を飛ぶことになるため、より高精度かつ安定的な位置情報の利用が期待されている。また、近年研究開発が進んでいる自動運転や作業用ロボット、UAV/ドローンの自動運航に関しても、GNSS測位による位置情報の把握は根幹を成す技術の一つである。 こうした実用面の広がりに伴い、GNSSの測位精度も向上してきた。単独測位(一つの受信機が複数の衛星からの距離を計算することによって自身の位置情報を把握する手法)に加えて、現在主流となっているのはDGNSS/DGPSというものである。これは、GPSをはじめとする人工衛星からの電波受信に加えて、地上に固定された基準局からの情報を参照することで位置情報を補正する手法で、これにより誤差1 ~ 2m程度までの測位精度を実現している。一方、自動運転等での利用にあたっては、誤差1mの精度では決して十分とは言えず、より高精度かつ即時的な位置の把握が求められる。そうした中で注目されているのがRTK(Real-time Kinematic)と呼ばれる測位技術である。 RTK測位はユーザー(移動体)側の受信機と、基準局と呼ばれる固定受信機の双方で人工衛星からの電波を受信する。そして、その電波から得られる情報(搬送波位相)を元にそれぞれの位置を計算し、基準局の位置情報及び位置補正情報を移動体側の受信機で受信・計算することで、正確な位置を移動体側で補足し続ける技術である。地上に固定された基準局からの情報を参照するという点はDGNSSと同様だが、搬送波位相から正確な位置を割り出すといった点が特徴である。詳細は割愛するが、これにより誤差数 センチメートルの測位精度が実現可能となり、既に実証もされている。ただし、従来のGNSS受信機では基本的には対応できないこと、そして基準局の設置位置が離れるほど精度が劣化することや、コスト面やデバイスの小型化に向けた課題もあり、汎用的な普及にはもう少し時間がかかるとみられる。 本レポートでは、このRTK測位に関する特許情報を広く分析することで、その技術開発の現況と、応用展開先及び今後の展開について予測を行うものである。


2018.12.12.

+ レンタル・シェアリングビジネスに関する技術動向

パーク 24(4666)がマツダレンタカーを買収し、カーシェアリングビジネスに参入して以降、様々な企業が 同事業に参入している。自動車を借りる、という意味ではレンタカーと同様だが、短時間での利用を想定する事 でちょっとした買い物の足として利用する等、新たな交通の足として利用が進んでいる。近年は都市部において 自転車のシェアリングが実験的に行われている等、従来見られなかったレンタル・シェアリングビジネスが現れ ている。一方で、レンタル・シェアリングは移動体に限ったビジネスではなく、CD・DVD 等はセルビジネスと 並んでレンタルを利用する人も多い。そこで、本稿では様々なレンタル・シェアリングビジネスに関する技術開 発動向を分析する事で、どのような状況にあるのかを分析することを試みた。


2018.11.28.

+ 海洋汚染で脚光を浴びるか生分解性プラスチック

最近、海洋でのプラスチック廃棄物に関する問題が大きな話題となっている。世界で生産されるプラスチック製品が増加し、それが投棄されることによって微粉化し、いわゆるマイクロプラスチックと呼ばれるものになる。プラスチックは化学的に安定であり、安価かつ加工性にすぐれるため、現代社会ではなくてはならない素材となっている。しかしこの化学的に安定という性質が裏目に出て、長期にわたり海域等に存在することになる。このマイクロプラスチックは海洋生態系にとって脅威になる可能性があるばかりでなく、近年では市販されている食塩から検出されるなど、その影響は人間にも及ぶ可能性を秘めている。 プラスチックによる汚染に対する一つの解は自然界でプラスチックが分解されることである。このような材料は生分解性プラスチックとして1980年代から研究開発が進められてきている。2017年には世界での生産量が90万トンに上り、今後も増加するとの予測もあるが、海洋汚染問題が大きく取り上げられるようになった今、さらに注目を集める可能性もある。そこでプラスチックによる海洋汚染が問題になっている今、生分解性プラスチックの技術開発動向およびプレイヤーに着目した。


 
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