航空機産業は現在世界的にも成長が期待されており、2019年の経済産業省の報告によれば世界の民間航空機市場は年率約5%で成長していき、今後20年間の市場規模は5~6兆ドル程度となる見通しといわれている。成長著しい航空機産業への参入を検討するためには、近年の産業動向を見据えて様々な分野から有力な候補を絞り込んでいく必要があるが、装備品を始め航空機に利用される部品は多岐に渡り、真に有望な分野を絞り込む事は困難を要する。 そこで本レポートでは航空機産業について装備品に関連のある特許情報を広く収集し、装備品に関する主要な技術分野を把握した上で将来有望となり得る近年の注目分野の抽出を行った。
Read More大学や公的研究機関、あるいは民間企業が研究開発・技術開発を行った成果は、特許や論文として公開されることが一般的である。そのなかでも複数組織が共同で行った技術開発は、共同執筆(特許の場合は共同出願)という形をとることが多い。また、有用な研究・開発成果は他の企業・大学が研究・技術開発を行う際に、先行する研究・技術として引用される。このため、各種特許や論文の共同執筆や引用を把握する事で、どのような研究・技術が活用されているのかの一端を把握することが可能になると考えられる。 本稿では、特に大学による研究・技術開発の活用状況について、特許の共同出願状況や発明者引用情報を用いた解析を試みた。
Read More大ヒットドラマ『下町ロケット』は記憶に新しい。今回のシーズンでは農業がフォーカスされており、「日本農業を救いたい」「おいしいお米を消費者に届けたい」という信念のもと、無人トラクタの開発・販売に向け様々な壁を乗り越えて行く姿が描かれた。農業話を現在、少子高齢化の余波を受け、危機的状況に陥っている。こうした危機的状況を解決する手段として注目が集まっている取り組みがある。アグリテックだ 。本書では、このアグリテックの技術領域の中にはどういったプレーヤーが、どのような特色があるのか、また本技術領域に新規参入している企業の特許を紐解kい、今後どのような企業がアグリテックに関わるのかを考察する。
Read More仮想通貨バブルに沸いた2017年から一転し、2018年は仮想通貨バブル「崩壊」の年となった。代表的な仮想通貨であるビットコインは1年間で70%以上値を下げ、投機対象としての価値を大きく下げた。その一方で、仮想通貨のコア技術であるブロックチェーンに関する技術開発は勢いを失っていない。ブロックチェーン関連の特許は年々増加しており、実用、実証例も仮想通貨を中心とする金融業界にとどまらず、様々な用途に使われ始めている。本レポートではブロックチェーン関連特許の近年動向を俯瞰解析することで、今後ブロックチェーン技術が向かっていく方向性、その応用可能性について有用な示唆を得ることを目的とする。
Read More「空飛ぶクルマ」の市場は世界で250兆円 とも言われ、参入を表明する企業は日々増えており、ボーイングやアストンマーチンなどの航空機メーカ やドローンメーカの参入が本格化しつつある。その流れを受けて、政府も「空の移動革命に向けたロードマップ(案)」を2018年12月に作成し、民間の実証試験と合わせて、制度や体制の整備の準備を始めている。ロードマップ(案)によれば、「空飛ぶクルマ」は2023年を事業スタートの目標としており、4年後には「空飛ぶクルマ」を見ることが珍しくない世の中になっているのである。 本レポートでは技術の側面から、新たなる空の覇者の可能性を検証する。なお、「空飛ぶ車」と表記している記事や文書もあるが、本レポートでは「空飛ぶクルマ」と表現している。
Read More2016年8月、リオデジャネイロで行われた国際オリンピック委員会(IOC)総会において、2020年の東京オリンピックでサーフィンが初めてオリンピック競技になることが承認された。さらに2024年のパリオリンピックでも追加種目候補となり、サーフィン競技は一躍注目を浴びている。サーフィンの道具に関しては、参加人口の多い米豪の海外勢ブランドが主流となっているのが実情である。モノづくりに軸足をおく日本での技術開発はどうなっているのであろうか。 本レポートでは、サーフィンに関連する技術開発動向を、特許情報に基づき概観し、オリンピックへの採用を契機に期待される技術の動きについて紹介する。
Read More日本のGDPは世界第三位、富裕者層の数もやはり世界第三位である。それにもかかわらず、世界の成長率ランキングでは、ワースト7に入っている。統計上は富裕国であるにもかかわらず、経済が発展しないのは、この20年間、企業がリスクを恐れて成熟した既存分野にのみにお金を消費し、新しい分野への先行投資を行ってこなかった結果であろう。また、お金があるのに経済成長が低いことの恐ろしさは、将来、確実に訪れる経済不況に対して危機感が見えにくいことだ。とくに日本の大企業に所属している者にとって、国内に留まるルーチン業務に従事していると、海の向こうで起きているダイナミズムに触れることがない。
Read More中国巨大EC企業として知られているアリババによるグローバルな買収劇が注目を集めている。近年、EC事業だけでなく、リアル店舗の展開、物流、フィンテック、クラウドコンピューティング、ビッグデータ活用、ヘルスケア関連など、様々な事業分野で活発にM&A等の投資活動が行われている。「米中欧日に次ぐ経済圏を構築する」というアリババのビジョンの実現には、グローバルな知的財産戦略と研究開発が欠かせない。アリババ社のグローバルな特許出願件数は伸びており、特にこの5年間の増加が著しい。各国の特許出願件数から見ると、2017年以後の特許公開件数は2016年までの累積特許公開件数に匹敵するほどの伸びである。
Read More2017年12月、コロプラの人気ゲーム「白猫プロジェクト」が任天堂の保有する特許を侵害しているとして、任天堂は事業の差止と44億円の損害賠償を求める訴訟を東京地方裁判所に起こした。ゲーム市場の主戦場はスマートフォンに移り、近年はゲーム業界での特許登録件数が急増している。こうした状況は、スマートフォンが登場する前から事業を営み、関連する特許技術を充実させてきた任天堂のような企業に比較的有利で、最近台頭した新興企業にとっては大きなリスクとなっている。本レポートでは、任天堂とコロプラの訴訟を事例として分析し、事件が起こったメカニズムと今後コロプラが取るべき打ち手を考察する。
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