新型コロナウイルスによる感染症、COVID-19の勢いが衰えない。ウイルスのまん延を防ぐために多くの人が自粛を強いられる状況下で「コロナうつ」といった言葉が聞かれるようになり、メンタルヘルス対策が重要性を増している。過去発行のレポートでは、未曽有のCOVID-19パンデミックにおいてメンタルヘルス対策が重要な課題となっていることを示した。また、うつ病の治療法を概観することで、「コロナうつ」への対策とそこに生まれるビジネスチャンスについて考察した。
本稿では、COVID-19パンデミックによって重要性を増していると考えられるメンタルヘルスに係る技術(メンタルヘルステック)の動向を概観する。
リモートワークが拡大する中、注目を集めているのがクラウド利用である。リモートワーク拡大当初はVPNで自宅から社内のデータにアクセスしている形態をとっていた。ところが、回線容量が足りずに業務に支障をきたす、社内用PCを自宅に持ち帰るため情報管理の観点で問題になるなどの課題も見えてきている。
そこで、仕事用の端末をクラウド上の仮想端末に切り替えるといった動きも出てきている。これらクラウドサービスの構築にあたって重要になる要素技術として、コンピュータやストレージ、ネットワークなどの仮想化技術が挙げられる。そこで、これらの仮想化技術について、技術開発動向を把握することを試みた。
2021年3月、向こう5年間の「第6期科学技術・イノベーション基本計画」が閣議決定された。重要な政策を検討する場として、総合科学技術・イノベーション会議の中に様々な専門委員会がある。その中の1つに「世界と伍する研究大学専門調査会」があり、世界のトップ大学と国内大学に関して、人材・資金・ガバナンスとった観点から、世界と伍する研究大学を実現するために必要な制度改革及び大学ファンド事業に係る制度について調査している。そこで本レポートでは、我が国の研究力強化への貢献の一環として、専門調査会で議論されている日米大学が保有する技術の全体像と日米の産学連携の違いについて、特許情報を用いて調査した。
Read More将来、コンピュータ化、AI化により多くの雇用が失われると予想されているが、逆に今後必要とされる職業はAI開発である。AIは突き詰めれば数学であり、数学が社会で重要視されつつある。21世紀になって注目を浴びつつある数学的技術としてパーシステント・ホモロジー、位相的データ解析がある。これは材料構造や情報ネットワークなど、一見差異が分かり難い構造を、分解能を連続的に変化させても持続的 (persistent) に出現する位相構造 (homology) に注目して、差異を見つけ出す方法である。
本レポートでは世界におけるパーシステント・ホモロジーの動向を調べるべく、各国の公開公報を基に分析を行った。
Read More二酸化炭素 (CO2) による地球温暖化防止に対する取り組みが世界的に活発になっている。CO2排出削減を目指し、燃料アンモニアの導入が検討されている。これは化石燃料など炭素を含む物質の代わりにアンモニアを燃焼させるというものだ。構造に炭素を含まないためCO2が発生しないが、窒素酸化物 (NOx) が生成される可能性がある。NOxは酸性雨の原因物質であり、温室効果ガスでもあるため、これを排出しては元も子もない。今後、NOx除去技術も重要な要素技術の一つになる可能性も考えられる。そこでNOx除去技術に関する開発動向とプレイヤーについて、日本国公開特許公報をもとに分析を試みた。
Read More新型コロナウイルスの勢いが衰えない。ニュース等で「コロナうつ」という言葉が頻繁に見られるようになっており、メンタルヘルスに関する問題の中でも特に「うつ病」への対策が重要な課題であると推測される。本稿では、過去からのうつ病の治療法を概観することで「コロナうつ」に対してどのように向き合うべきか、また最新の研究トレンドから考えられるビジネスチャンスについて、学術文献に着目して考察する。学術文献は治療法が実用化される前の臨床試験、研究等の情報を含んでおり、過去の研究と現在の治療法の比較、実用化前の最新の治療法や今後有効となる治療法等を把握するのに優れた情報源と考えられる。
Read More「デイリーストックアクション (DSA)」とは、“日常的常温保存可能食品を一定量ストックしながら食べていこう”という家庭用備蓄推進活動であり、日常的な短時間調理に活用できつつ、災害用の備蓄食料も保持できるというコンセプトである。こうした活動は災害時だけでなく、食品ロスの削減にも有益である。
しかし、食品は何も手を加えなければ腐敗や品質劣化が進む。加えて健康志向の高まりによる保存料など添加物不使用の食品ニーズに応える必要もあり、食材の生産や加工、流通など各フェーズにおける技術開発が進んでいると考えられる。そこで、日本国公開特許公報を用いて、食品を長持ちさせる技術に取り組みや課題について明らかにする。
2019年4月、日立製作所が主要子会社の1つである日立化成の売却を検討していることが報道されて以降、複数の有力子会社の再編を進めている。日立化成は昭和電工に売却、日立ハイテクは日立製作所の完全子会社となった。日立金属は一次入札段階に進み米ファンドなど4社が応札し、日立建機は2割程度の持ち株を残し売却との方向性が示された。日立製作所の東原敏昭社長が「2021年度までに結論を出す」と語ったようにグループ再編の方向性が決定したと考えられる。
そこで今回は日立グループの再編の背景を技術の観点から考察するために日立製作所および有力上場子会社であった日立化成、日立ハイテク、日立金属、日立建機について解析を行った。