日本のGDPは世界第三位、富裕者層の数もやはり世界第三位である。それにもかかわらず、世界の成長率ランキングでは、ワースト7に入っている。統計上は富裕国であるにもかかわらず、経済が発展しないのは、この20年間、企業がリスクを恐れて成熟した既存分野にのみにお金を消費し、新しい分野への先行投資を行ってこなかった結果であろう。また、お金があるのに経済成長が低いことの恐ろしさは、将来、確実に訪れる経済不況に対して危機感が見えにくいことだ。とくに日本の大企業に所属している者にとって、国内に留まるルーチン業務に従事していると、海の向こうで起きているダイナミズムに触れることがない。
Read More中国巨大EC企業として知られているアリババによるグローバルな買収劇が注目を集めている。近年、EC事業だけでなく、リアル店舗の展開、物流、フィンテック、クラウドコンピューティング、ビッグデータ活用、ヘルスケア関連など、様々な事業分野で活発にM&A等の投資活動が行われている。「米中欧日に次ぐ経済圏を構築する」というアリババのビジョンの実現には、グローバルな知的財産戦略と研究開発が欠かせない。アリババ社のグローバルな特許出願件数は伸びており、特にこの5年間の増加が著しい。各国の特許出願件数から見ると、2017年以後の特許公開件数は2016年までの累積特許公開件数に匹敵するほどの伸びである。
Read More2017年12月、コロプラの人気ゲーム「白猫プロジェクト」が任天堂の保有する特許を侵害しているとして、任天堂は事業の差止と44億円の損害賠償を求める訴訟を東京地方裁判所に起こした。ゲーム市場の主戦場はスマートフォンに移り、近年はゲーム業界での特許登録件数が急増している。こうした状況は、スマートフォンが登場する前から事業を営み、関連する特許技術を充実させてきた任天堂のような企業に比較的有利で、最近台頭した新興企業にとっては大きなリスクとなっている。本レポートでは、任天堂とコロプラの訴訟を事例として分析し、事件が起こったメカニズムと今後コロプラが取るべき打ち手を考察する。
Read More人工衛星からの信号を用いたGNSSの測位技術は、ここ20年ほどの間に我々の生活の中で欠かせないものとなった。そうした中で注目されているのがRTK(Real-time Kinematic)と呼ばれる測位技術である。RTK測位はユーザー(移動体)側の受信機と、基準局と呼ばれる固定受信機の双方で人工衛星からの電波を受信する。そして、その電波から得られる情報(搬送波位相)を元にそれぞれの位置を計算し、基準局の位置情報及び位置補正情報を移動体側の受信機で受信・計算することで、正確な位置を移動体側で補足し続ける技術である。本レポートでは、このRTK測位に関する特許情報を広く分析する。
Read Moreパーク 24がマツダレンタカーを買収し、カーシェアリングビジネスに参入して以降、様々な企業が 同事業に参入している。自動車を借りる、という意味ではレンタカーと同様だが、短時間での利用を想定する事 でちょっとした買い物の足として利用する等、新たな交通の足として利用が進んでいる。近年は都市部において 自転車のシェアリングが実験的に行われている等、従来見られなかったレンタル・シェアリングビジネスが現れ ている。一方で、レンタル・シェアリングは移動体に限ったビジネスではなく、CD・DVD 等はセルビジネスと 並んでレンタルを利用する人も多い。そこで、本稿では様々なレンタル・シェアリングビジネスに関する技術開 発動向を分析する事で、どのような状況にあるのかを分析することを試みた。
Read More最近、海洋でのプラスチック廃棄物に関する問題が大きな話題となっている。世界で生産されるプラスチック製品が増加し、それが投棄されることによって微粉化し、いわゆるマイクロプラスチックと呼ばれるものになる。プラスチックは化学的に安定であり、安価かつ加工性にすぐれるため、現代社会ではなくてはならない素材となっている。しかしこの化学的に安定という性質が裏目に出て、長期にわたり海域等に存在することになる。プラスチックによる汚染に対する一つの解は自然界でプラスチックが分解されることである。プラスチックによる海洋汚染が問題になっている今、生分解性プラスチックの技術開発動向およびプレイヤーに着目した。
Read More日本の総人口は2017年10月時点で1億2,671万人となっており、総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は27.7%となった。これは増加の一途を辿っており、2025年には高齢化率は30%を超えることが予想されている。こうした人口構造の変化は乳幼児や高齢者を対象とするおむつ市場においても影響を与えており、2011年には出荷額ベースの市場規模において大人用が乳幼児用を上回ったとの報告もなされている。こうした流れを受け、各社の対応は様々だ。本レポートでは、人口構造の変化に対しておむつ市場の各企業がどういった開発戦略を実施しているかを技術的な側面から明らかにすること、及び今後のおむつに関するトレンドを予測するために、特許情報に基づく俯瞰解析を試みた。
Read Moreアップルがこれまでに出した新製品は大きな成長市場の創出につながっている。技術が成熟していない新市場の初期に完成度の高い製品を投入、瞬く間に高いシェアを握るとともに市場を拡大、新市場の創出を原動力として成長を持続させてきた。一方で最近発表された米調査会社IDCの調査結果によると、スマートフォンの全世界出荷台数は2017年に前年比で0.5%減少、市場が衰退へと転じたことが窺える。今後iPhoneから得られる莫大な利益に頼って成長を持続するのは困難を増していくと予測される。本レポートでは、アップルが新製品の成長市場を創出、それを成長の源としてきたことを踏まえ、アップルの今後を予測する。
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