地震にまつわる技術の開発動向

2016年4月、熊本を巨大地震が襲った。 日本は世界的にみても多くのプレート境界がある上、世界一の数の断層が列島中に分布しているため、M6.0以上の地震の20%以上が日本で発生しているとのことである。確率的には日本列島上のどこで巨大地震がいつ発生しても不思議ではないということであろう。地震は地球規模のダイナミックかつ様々な要因が関連した自然現況であるため、予測が難しいことは素人でも容易に想像が付く。それでも、技術開発は2011年の東北地方太平洋沖地震をきっかけにさらに盛んになっており、2001年以降に出願された米国公開公報約12,000件をVALUENEX社の解析ツールTechRadarを用いて一枚のレーダー図に可視化する。

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次の日本人ノーベル賞有力候補 金ナノ触媒 非白金族金属触媒を取り巻く技術動向

触媒 (しょくばい) とは、特定の化学反応の反応速度を速める物質で、自身は反応の前後で変化しないものをいう。研究開発においては鈴木章氏がパラジウム触媒を用いたクロスカップリング反応により2010年のノーベル化学賞を受賞したのをはじめとして、多くの触媒反応がノーベル賞を受賞している。近年、春田正毅氏が金ナノ触媒に関する研究でトムソン・ロイター引用栄誉賞を2012年に受賞し、近い将来のノーベル賞の有力候補と見込まれている。 よって、今回は金触媒を中心とした白金族を除く金属触媒について出願された特許を収集し、周辺の研究開発動向について調査を行っていく。

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企業と大学の共同研究による次世代技術、異業種参入の可能性

市場を変革し得る先端技術が開発されるのは企業の研究者からとは限らない。現行の市場を大きく変え得る最新技術は大学などの研究機関を発端とすることがある。企業側もそのことを承知し、大学側との共同研究として、人員派遣や研究費負担などを行う例は多数存在する。一概に言えるものではないものの、営利団体である企業が共同研究として当たる技術は、将来的に市場展開性を持ったもの、少なくともそれを見出しているものである可能性が高い。 よって、今回は大学機関が出願した特許を収集し、特に共同研究の技術を捉えるため、民間企業と共願を行っている特許の概況について調査を行っていく。

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スマートメーターの普及で注目を集める 電力量測定技術の技術開発動向

2016年4月の電力小売全面自由化により、家庭や商店でも電力会社を自由に選択できるようになる。電力会社の切り替えには、電力量計としてスマートメーターの設置が必要となる。スマートメーターは、従来のアナログ式誘導型電力量計と異なり、デジタル計測であり、通信機能を持つなどの特徴がある。エネルギー問題が注目される昨今にあって、消費される電力消費量を測定する技術についても高い関心が払われている。リアルタイムな電力量の測定など、電力量計に対する要求が増える中で、電力量計に関係する技術開発も進んでいる。そこで、電力量計など電力量測定に関する技術開発動向を知るため、関連する日本国公開特許公報を収集し分析する。

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熱電変換技術の動向とプレイヤー

エネルギーには電気や光、運動など様々な種類があるが、すべてのエネルギーは最終的には熱エネルギーとなる。そのためエネルギーの効率的な利用のためには廃棄された熱エネルギーを再度利用しやすいエネルギー形態に変換する必要がある。その一つが熱電変換である。熱電発電に関しては無線中継基地電源や軍用可搬電源、あるいは体温で発電する腕時計など一部で実用化されているが、現状で排熱回収に広く利用されているとは言い難い状況にある。一方で、国内外で活発な開発投資が行われている。そこで熱電変換に関する国内での開発状況とプレイヤーについて、日本国特許公開公報をリソースとしてクラスター解析を行った。

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素数を産業応用したユニークな特許の分析

今年2016年の初めに、過去最大となる約2,233万桁の素数が発見されたとのニュースが世界を駆け巡った。国内では、去年に某国立大学の生協で「素数ものさし」なるものを販売したところ、かなり売れたと評判になった。このような注目を浴びている素数は、一体世の中に役に立っているのだろうか?唯一、インターネットセキュリティー上の暗号で、素数による素因数分解が利用されているのは知られている。しかし、これは素数の計算が困難であることを逆手に取った活用で、積極的に役立っているとは言えない。この暗号以外に、素数が活用されている事例を探すべく、特許の世界から、素数が利用されている発明を米国特許公開公報から調査した。

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ネコノミクスとネコテクノロジー

2月22日は「猫の日」である。この記念日に、2016年も全国各地で様々な猫に関するイベントが開催され2日間で約12,000人の来場者があったという。今日本では空前の猫ブームが起きている。その経済効果は「ネコノミクス」と呼ばれ、関西大学の宮本勝浩名誉教授の試算によると年間約2兆3,000億円に達する。巨大な経済効果をもたらす猫ブームだが、企業は猫に関してどのような技術開発を行ってきているのだろうか。本レポートでは、猫に何らかの関連のある特許情報を分析し、猫に関する主な技術開発の内容と近年のトレンド、猫ブームの背景とされる高齢化などと関連した技術を明らかにした結果を紹介する。

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鴻海精密工業はシャープを救済できるか

シャープの救済を巡る駆け引きが再び世間を騒がしている。産業革新機構が提示する3,000億円に対して、台湾の鴻海精密工業(以下、ホンハイ)が7,000億円で経営権を取得するとし、シャープの現経営陣が揺れているのである。2012年にシャープが経営危機に陥った際は、液晶事業の共同経営相手としてホンハイに出資を打診、ホンハイはシャープの先端技術が狙いとしているもとして交渉が進められたが、両社の中長期戦略に違いがあり、交渉は前に進まなかった経緯がある。そして、この4年間、ホンハイは着実に事業を拡大し、シャープとの交渉における立場が逆転してしまった。両社の事業およびその強みについて、保有技術を基に検証するため、米国登録公報を対象にして、俯瞰解析を行った。

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バイオマス燃料の技術遷移

我が国の電力エネルギー供給では、その90%近くが化石燃料によってまかなわれている。化石燃料のほとんどを日本は海外より輸入しており、多くを中東国に依存しなければならない。そのため政治情勢の変化に左右され安定した供給が難しい。更に化石燃料の使用は温室効果ガス排出等の環境負荷が大きい。そのため国内でのエネルギー生産が求められており、中でもバイオマス燃料は環境面、安全性を顧慮した代替エネルギーとして期待されている。 従来のバイオ燃料には栽培作物系と、廃棄物があげられていたが、近年では、微生物による燃料生産に関心が高まっている。例えばバイオベンチャー「ユーグレナ」が、横浜市や全日空などとともに「国産バイオ燃料計画」を発表した。同社は、世界で初めてミドリムシの屋外大量培養に成功し、「2020年にバイオジェット燃料を使った航空機の有償フライト、次世代バイオディーゼル燃料を使ったバスの公道走行」をうたっており、このミドリムシを用いた次世代燃料は世界も注目する技術であると言われている。

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新たなる課題“乗り心地性能”に挑戦するタイヤメーカー

2016年2月、ブリヂストンが無意識に溜まる「疲れ」を軽減するタイヤとして、「プレイズPXシリーズ」を発売した。従来、タイヤに求められる性能としては、走行安定性、低燃費、耐久性、ウェット性、静粛性、ドライ性能、乗り心地といったものが中心であった。そうしたなか、ブリヂストンは新しいコンセプトとして、実際に運転を行うドライバーを意識した製品を販売する。日本国内で成熟した市場のひとつとされるタイヤ業界において、新たな商品展開をするにあたり、一つの課題に限らず、複数の課題を対応した製品開発により、新しいコンセプトを打ち出す時代となりつつあることが推測される。そこで、近年のタイヤ業界においてどのような課題が発生し、また特定の解題解決に取り組む企業が存在するのかを、弊社の特許俯瞰ツールよる調査を試みた。

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トレーサビリティ向上のための技術的アプローチ

産業廃棄物処理会社が食品廃棄物を不正に転売した事件が報じられている。ある企業が、本来は廃棄すべき食品を横流しし、製品として流通させたとのことである。食の安全を脅かす事件として、企業や消費者に動揺を与える結果となった。この事件に関し、食品の廃棄の過程がトレーサビリティ (追跡可能性) の制度の対象範囲に含まれていないことが原因として指摘されている。食品の安全性に対する要求は、トレーサビリティの確保された食品の付加価値を高めることにもつながる。2015年12月に最初の登録が発表された地理的表示保護制度も、現代のニーズを反映している。こうしたトレンドから、コストを抑えながらトレーサビリティを向上するような技術が注目されていくものと考えられる。そこで、トレーサビリティを確保するための技術に関する技術開発動向を知るため、関連する日本国公開特許公報を収集し分析する。

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二度目のブームを迎えたバーチャルリアリティとプレイヤー

バーチャルリアリティの製品化が活発になってきている。米国ラスベガスで行われたCESではバーチャルリアリティに関連する製品が多く展示されていたとのニュースが流れた。韓国サムソンは2015年末にGear VRを発売しており、またソニー・コンピュータエンターテイメントは2016年にPlayStation VR用に100以上のタイトルを発表するとしている。 バーチャルリアリティはコンピュータを用いて人工的に現実感を作り出す1960年代に技術である。日本では1990年代にバーチャルリアリティブームがあったが、一度衰退している。当時と比較し、バーチャルリアリティに関する技術はどのように変化してきたのか。とくに日本国内でのバーチャルリアリティ技術の推移について、国内特許公報をもとに分析を行った。

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巻き返しをはかる国内ブラジャー開発

国内でのブラジャーの普及は、終戦によるこれまでの和服から洋服への流れを受け、1949年当時の和江商事 (現、ワコール (3591) によるブラパッド、それに続くナイロンブラジャーの大ヒットで普及が始まっている。だが、近年は、ブラジャー市場が縮小しており、巻き返しが求められている。その中で現れたのが2010年頃のノンワイヤブラである。これはワイヤによる締め付けのない付け心地の良さを求めた商品である。このような近年におけるブラジャーの国内での開発状況を、VALUENX株式会社が提供するテキストマイニングによる俯瞰ツールXLUSTechRadarを用いて国内特許から分析を行った。

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特許ポートフォリオからみた石油元売り業界の再編

2015年11月に石油元売り国内2位の出光興産と同5位の昭和シェル石油が両社の経営統合に基本合意した。本統合により生産量や生産効率の面で向上が見込まれ、石油元売り国内首位のJXホールディングスに売上高で大きく迫ることができることが当時の報道でも強調されていた。その1か月後の2015年12月、そのJXと同3位の東燃ゼネラル石油が両社の経営統合に基本合意し、出光と昭和シェル (約7兆6000億円) の2倍近い約14兆3000億円に達する石油元売会社が誕生した。再編の波が押し寄せる石油元売り業界だが、統合の背景には石油需要の減少がある。本レポートでは、出光、昭和シェルも含め、統合により生じうる技術的補完関係や、今のところ再編に関わっていないコスモエネルギーホールディングスの強み技術領域について明らかにし、石油需要の減少に抗いうる原動力の有無について考察する。

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