明治ホールディングス

 
VALUENEXとのプロジェクトによって技術開発戦略を策定しました


明治ホールディングス株式会社

POINT

  • 中長期的な重点技術戦略の策定において、シーズの棚卸とニーズの探索両方が可能であることがVALUENEXへプロジェクトを発注する決め手になった
  • プロジェクトのアウトプットによって経営層との議論が進み、戦略策定を達成できた
  • プロジェクトで得られた示唆をもとに従来の組織名から「ウェルネスサイエンスラボ」に改名した
 
 
 
長田 昌士様
ウェルネスサイエンスラボ ラボ長
博士(農学)
 
亀田 敦史様
経営企画部
戦略推進グループ長
 
池田 真輔様
経営企画部
戦略推進グループ

明治ホールディングス株式会社様は、食品事業と医薬品事業を通じた人々への健康・安心の提供と、イノベーションによる新たな健康価値の創出に取り組んでいらっしゃいます。今回、2021年にVALUENEXに調査プロジェクトを発注いただいたウェルネスサイエンスラボ長の長田様、経営企画部の戦略推進グループ長である亀田様と、同グループの池田様に、ご利用の経緯や当社とのプロジェクトについてお話を伺いました。

 
 

ご導入経緯について


シーズの棚卸とニーズの探索双方についてVALUENEXに俯瞰解析をお願いしてみようということで、プロジェクトを開始しました。

ご所属されている部門およびみなさまのミッション、業務について教えてください

長田様:ウェルネスサイエンスラボのラボ長を務めています。VALUENEXとプロジェクトを実施した当時は価値共創センターという名前でしたが、プロジェクトの結果を踏まえて名前を変えることにしました。ラボとしては、グループ全体の成長という観点から我々が本来どういったところに向かうべきなのかを考え、各事業会社の既存事業を成長させる研究と新規領域に関する研究の双方を担っています。

亀田様:経営企画部戦略推進グループに所属しています。主にオープンイノベーションやスタートアップとの連携を担当しており、探してきたスタートアップをグループ内の事業会社に紹介するなどしています。

池田様:亀田と同様に経営企画部戦略推進グループに所属しており、スタートアップの探索と各事業会社への紹介を担当しています。


VALUENEXとプロジェクトを進める前はどのような課題感をお持ちでしたか?また、VALUENEXを選んでいただいた理由について教えてください。

長田様:価値共創センター(現在のウェルネスサイエンスラボ)は2019年に創設されましたが、私はこの組織には2021年から副センター長として赴任しました。当時の私としては、グループを代表する我々の組織が、グループ全体として推進すべき領域はないのかと、常々考えておりました。そこでグループ内の各社の現状把握から始めました。各社の接点やシナジーについての仮説はありましたが、特許や論文を使って調査する方法を議論していた時に当時の株式会社明治の経営企画本部からVALUENEXを紹介され、自分たちが求めていることに対して答えを出してくれるのではないかと思いお願いをしました。

亀田様:当時は中期経営計画より長期のビジョンである明治グループ 2026ビジョンで掲げたオープンイノベーションや食・薬のシナジーという目標に対する推進業務を行っていました。世の中では両利きの経営が言われていましたが、当社が知の深化(既存事業の深堀)に注力しており、知の探索(新規事業の推進)が弱いという課題感がありました。オープンイノベーションをやる上でも自社の方向性を決める必要がありますし、自社が保有している技術を知る必要もありました。そこで、ニーズ(市場機会)の探索とシーズ(技術)の棚卸をすることにしました。VALUENEXが技術探索をできるというのは社内の過去のプロジェクトですでに知っていましたが、直接話を聞く中でスタートアップの資金調達等の情報からニーズを探索できるということも知りました。両方できるならシーズの棚卸とニーズの探索の双方についてVALUENEXに俯瞰解析をお願いしてみようということで、プロジェクトを開始しました。

長田様:シーズ側では、明治グループ各社の技術の重なりなど、プロジェクトの結果から見えたものを元にいくつかの領域を選んで重点技術領域の6本柱を決めました。グループ内のシーズで社員にはバラバラであると思われているところに実は共通する共通する技術的な種、いわゆるグループのDNAのようなものがあることをVALUENEXに可視化してもらいました。

亀田様:ニーズ側では、一度食品・医薬品メーカーであることから離れ、当社スローガンで掲げる「健康にアイデアを(Now ideas for wellness)」の”Wellness”が、どういう領域に広がっているかという観点で調査しました。シーズについては今まで各事業部や研究所ごとに限られたカテゴリでの技術探索はやっていましたが、グループ全体として俯瞰したことがなく、VALUENEXとのプロジェクトを通じて広い視野で見ることができて良かったです。

長田様:特許戦略を考える上では各カテゴリにフォーカスして、周囲のプレイヤーや特許の深堀りが中心となります。しかし、我々はグループ全体としてどういった技術を持っているのか、力を集中できるカテゴリはないのかということを俯瞰的に考えました。グループ内でシナジーがありそうと思ってもそもそもどういう技術があるかしっかり把握できていないといけないのですが、そこにVALUENEXの手法が合っていました。

 
 
TOP

VALUENEXとのプロジェクトについて


VALUENEXがなかったら戦略策定が全く進みませんでした。

VALUENEXと実施したプロジェクト結果を他の方にも共有されましたか?

長田様:プロジェクトの結果から出てきたアイデアが多くあったので、それを使って他の社内メンバーともディスカッションし、会社として何をやりたいのか、そして自分たちがやりたいことの中で実はすでに保有しているアセットについて話し合いました。また、自分たちが意識していないところに自社の技術を活かせる場所があるのではないかと考えました。例えば、世の中の動きを見た時に、実は今後必要とされる技術を自分たちはすでに持っていたという発見です。VALUENEXとプロジェクトを進めたことで、自分たちがよく知っている技術を新しい取り組みに活かせるという示唆を得ました。

VALUENEXに調査を依頼してみてどのような点が良かったでしょうか?

長田様:正直、VALUENEXがいてくれなかったら技術開発戦略の策定が全く進みませんでした。自分が描いている世界観を表現してくれるツールとしてVALUENEXの俯瞰図がぴったり合いました。俯瞰図を見せることで経営層を突き動かすことができ、議論が過熱した結果、一部の経営層からお𠮟りを頂戴した部分もありましたが、それは結果として良いことでした。本質を捉えているからこそそういったことが起こったのだと思います。

亀田様:VALUENEXとプロジェクトを実施した後にグループ横断で経営企画、研究戦略、研究開発等のメンバーを集めてディスカッションしましたが、自社の研究開発活動について「他社と比べたときに飛び地の領域がない、全体的に控えめ」などをVALUENEXの結果が明確に示してくれた点が良かったです。私たちが個人の知見で言っているのではなく、データが示しているので健全な議論に発展しました。

長田様:当時は特定の領域に研究の選択と集中をしていたという事情はありましたが、改めてVALUENEXの俯瞰図を見た時に、どこかで戦略を変えなければならないのではないかということを身を持って知ることができました。俯瞰的に物事を見るときにVALUENEXの俯瞰図は非常に使い勝手が良いと感じました。経営層を交えて議論できる有力なツールだと感じました。

亀田様:私は営業系の出身で特許や技術に関する知識が乏しいので、調査担当者の方にかみ砕いて説明してもらえるかが非常に重要でしたが、VALUENEXの担当者は非常にわかりやすく分析結果を説明してくれました。

長田様:私たちが突拍子もないことを言ってもVALUENEXの担当の方がしっかりやりたいことや知りたいことを理解して応えてくれて資料化してくれました。その資料を見て我々も「こういうことだったんだ!」と理解するということがありました。自分たちの業界以外のことは全然知らないわけですが、こういう風に考えたらこういうことが見えますといったことを色々と教えてもらい、とてもわかりやすかったです。

亀田様:分析結果をまとめる際のフレームワーク等、VALUENEXの俯瞰解析以外にも色々と提案、説明してくださいました。

池田様:スタートアップがどういった成長を示すかといった経時変化を提示していただいたのが非常に参考になりました。他チームと議論する際にも役立ちました。

TOP

プロジェクト完了後について


プロジェクトで得られた示唆をもとに組織名を変更しました。

VALUENEXとの調査プロジェクトの完了後、成果物をどう活用されましたか?

長田様:調査結果を社長含む経営層に報告し、技術開発戦略の6本の柱を決めました。

長田様:この技術開発戦略6領域*に基づいて技術開発するための組織作りを考えた時に、当時の「価値共創センター」という組織名が何を目指すための組織なのかが不明瞭だったため、ウェルネスサイエンスを先導して取り組んでいくという意味を込めて「ウェルネスサイエンスラボ」と改名しました。

VALUENEXとのプロジェクトを開始してから技術戦略の策定、組織作りに至るまで、かなりスピード感を持って進めることができました。

亀田様:次の中期経営各策定に間に合わせたいというのもありました。

長田様:社長も中期経営計画に入れるべきだと言ってくれました。当然の話ではありますが、ゴールとスケジュールを決めた上で、そこまでにしっかり仕上げると決めてプロジェクトを進めれば必ず良い結果が生まれると思います。

*技術開発戦略の6領域については、明治ホールディングス株式会社様の統合報告書2024のp.58-59に記載されています。

TOP


今後VALUENEXに期待することや改善すべき点について


今後VALUENEXに期待することや改善すべき点について聞かせてください。

長田様:データは古くなるので定期的に分析をしたい考えは常にありますが、より結果がわかりやすくなるような付加的な機能があると良いなと思います。プロジェクトの実施から時間が経過しているので、技術的な進化を期待します。例えば、スタートアップの動向は不確実な部分が多いので、投資金額以外からも予測をしたいです。

亀田様:人流データやSNSのコメントのようなマーケティングに直結しそうなものと、(特許などの)マーケティングから遠いものを一緒に俯瞰できたら面白いと思います。

長田様:組み合わせるものが違うデータであればあるほど想像力を掻き立てられると思います。

TOP


インタビューへのご協力誠にありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。


掲載内容は取材当時のものです (2024年9月27日掲載)