IPBC Japan 2016
事後レポート
知財ビジネス会議「IPBC日本2016」は知財価値の創造と企業の戦略的知財管理を中心テーマとし、日本の現状に即して議論をするカンファレンスです。パネルディスカッションとエキシビションに分かれており、前者では国内外のオピニオンリーダーが議論を展開し、後者ではスポンサーを務めるサービスプロバイダーがブースを構えています。今回は、国内外の企業・学界・行政等を代表するような方々200名以上が参加されました。
VALUENEXはIPBC日本2016のゴールドスポンサーを務め、パネルディスカッションでのスピーチとエキシビションでの出展を行いました。
パネルディスカッション
異なる成長ステージのICT企業が集結
弊社代表の中村が、「事業の成長を実現するための知財価値構築」という題目のパネルディスカッションに参加しました。モデレーターは荻野誠 教授(東京理科大学イノベーション研究科知的財産戦略専攻)、パネラーは大水眞己氏(富士通株式会社 知的財産本部長代理)、Bin Sun氏(Xiaomi, Chief legal officer)、Logan Xie氏(LeEco, Vice president, global patents)そして中村達生(VALUENEX株式会社 代表取締役CEO)というメンバーでした。
富士通は日本を代表する老舗ICT企業。Xiaomiは中国で有名なスマートフォンメーカーで、2010年創業で既に売上1兆円を超え急成長を遂げ、すでに日本でも有名な企業。一方、LeEcoは、2004年の創業事業はビデオストリーミング・サービスプロバイダであり、中国版Netflixというイメージでまだ日本には馴染みが薄い。しかし、ここ最近では積極的な事業展開を始め、スマホ・TVメーカーという顔もあり、Connected Carのコンセプトも発表しています。あらゆるモノがネットに繋がる時を見越して、モノからコンテンツまでを掌握したビッグカンパニーを目指していると考えられます。最近では、米国市場での動きも活発で、米国TVメーカーのVizioの買収、Googleの元知財関連弁護士を採用するなどのニュースが注目される企業です。このパネルディスカッションは、ICT企業であることは共通しているものの、成長段階の異なる3社と、知財の俯瞰解析を将来予測やR&D・事業戦略に活用するコンサルファームであるVALUENEXが一同に集まった非常に興味深いセッションとなりました。
富士通とXiaomiが良いコラボレーター?
各々が企業概要と知財戦略について説明した後、中村が事前に用意してきた富士通、Xiaomi、LeEcoが保有するUS特許の俯瞰解析を元にディスカッションが行われました。量的には富士通が圧倒しており、Xiomiが富士通のコア技術を取り囲むようにアプリケーションに関する特許が分布されている。また、Xiomiは買ってきた特許が多いことも特徴的です。このことから、富士通とXiomiは互いに良いコラボレーターになる可能性があると中村が説明すると、大水氏とBin Sun氏ががっちり握手を交わし、会場が拍手に包まれた一面もありました。一方、LeEcoはまだ件数が少なかったため、あまり言及できませんでしたが、Logan Xie氏によると、 2015年から急激に出願し始めているので公開はこれからだということ。前述した通り、LeEcoは様々な方面で事業展開をし始めているので、また2年後あたりに解析し直してみると面白い結果が得られそうです。
パネルディスカッション後では、中村氏に名刺交換の長蛇の列ができており、聴衆の興味関心をしっかり惹くことができたと思います。
エキシビション
ブースでは主に、俯瞰解析の概要説明と解析事例の紹介を行いました。日本・海外問わず、弁理士、知財コンサル、企業知財担当者など、幅広い方々に来ていただきました。特に中村氏の発表後、「非常に面白かった」「是非、一度議論したい」といった声が多く、知財ビッグデータの活用、俯瞰解析による戦略立案について、広く周知できたと実感しました。
また、VALUENEXのロゴと俯瞰図をデザインしたステッカーをノベルティとして配布しました。ステッカーにデザインされている俯瞰図は「人工知能」と「電池・電源」に関する事例です。前者は近年、脳型コンピューティング、脳型チップの研究開発が成長していること、後者は高密度・小型化が進む電池・電源では、様々な種類があるものの、中心的な話題は熱マネジメントであることを示唆しています。
また、12月4日~6日には上海でIPBC Asia 2016が開催されます。こちらもおそらく充実したカンファレンスになると思います。ご興味のある方は、是非参加してみてはいかがでしょうか。
IPBC Asia 2016 オフィシャルサイト