MEIJI

 
特許出願戦略の方向性についての妥当性を、視覚的な形で確認することで、周りの人に納得してもらえる点でも役立っていると感じます



社名
株式会社明治

POINT

  • グラフや表では伝えづらい複雑な情報を、包括的・直観的に、理解しやすい形で示せることにメリット
  • 自社技術と周辺技術との関係性が俯瞰でき、自社技術の独自性や得意な技術を見つけることに寄与
  • 情報を解釈しツールを活用する上では、研究開発の人とのコミュニケーションは不可欠

株式会社明治様は赤ちゃんからお年寄りまであらゆる世代の方々に向けて、粉ミルク、牛乳、ヨーグルト、菓子、チーズ、スポーツ栄養、流動食など幅広い商品を提供されている企業様です。今回、VALUENEX Radar Documentsをご利用頂いている研究本部知財戦略部の竹内様に、ご導入背景やご利用方法について、お話を伺いました。

 
 

ご導入経緯について


複雑な情報を包括的に、直観的に理解しやすい形で示せるのがメリットとして大きいと感じました

所属されている部門のミッションや、ご自身の業務はどういったものになりますでしょうか?

特許戦略グループに所属しており、特許情報の俯瞰的な収集や解析等を実施して、それを部内外に展開しています。特許出願については、出願権利化グループが別にあり、役割が分かれています。

導入以前に抱えていた課題や弊社ツールの導入に至った経緯は何でしょうか? 

2019年の4月頃に社内で特許戦略強化の機運が高まり、知的財産部門の地位を研究本部内で格上げして、特許戦略に取り組もうという動きが起こりました。その中で自社特許の棚卸や俯瞰ができるツールが必要となり、導入に至りました。当時他のツールも使っていたのですが、グラフや表では複雑な情報をわかりやすく伝える事が難しいという課題がありました。その点VALUENEX Radarでの可視化は、複雑な情報を包括的に、直観的に理解しやすい形で示せるのがメリットとして大きいと感じました。また、一歩引いて見るという使い方が出来るのも大きいのかなと思います。これまではそういった見方はしてきていませんでした。その他社内組織的には、現知財戦略部長が前職でのVALUENEX Radarの特色や実績を事前に知っていたことも大きかったです。実績をよく知っていた分、新規の導入においても使えるだろうという認識をスムーズに社内で持つ事が出来ました。

導入に向けた社内調整では、どのようなハードルがあり、それをどう乗り越えられましたでしょうか? 

特許戦略に力を入れようというタイミングだったので、上層部は積極的に導入する方向で賛同を得られました。調整面での大きなハードルは無かったです。

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ご活用方法について


自社独自の技術や得意な技術を見つけることや、それらを上手く活かすきっかけ作りなどに活用しています

どういった内容の解析や活用をされていますか?

研究開発のプロジェクトで研究者と知財部とで月1回くらいの打ち合わせを設けていまして、その中で研究開発の進捗報告に合わせて、こういう俯瞰解析の結果が出ましたと報告する場を設けており、そこで相互に情報交換をしています。研究者向けに使っていくので、全体的な事業の方向性というよりは、もう少し具体的な研究の方向性や指針を発信しています。

解析テーマとしては、自分たちが元々持っている技術をどう活かすかを考える中で、まだ出口が見えないような時、例えば自社技術と社会的ニーズのマッチングなどは別の解析等で進めつつも、自社の持つ技術とその周辺技術の関係性を俯瞰することで、自社独自の技術や得意な技術を見つけることや、それらを上手く活かすきっかけ作りなどに活用しています

対象となる技術分野の母集団と俯瞰図を作成して、その中のどこにこれから自分たちがやろうとしている技術分野が一致しているのかを探し、方向性の検討であったり、ここを狙うのであれば実施価値があるなと判断をして、開発の推進力に繋げるといった使い方が多いです。また、研究開発の意向を元に私の方で母集団の作成と解析を進めまして、研究開発部署に結果の情報提供をして、フィードバックをもらって、また改めてこちらでその意味付けをし直して、この辺りに開発の種がありますよ、今やっているのはこの辺りなので、今後の方向性としてはレッドオーシャンですよ、ブルーオーシャンですよ、というようにこちらからサジェスチョンをするという活用方法も多いです。今の弊社のツールの使い方としては、研究開発の人間とのコミュニケーションは不可欠です。

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導入後の展開について


研究所側から依頼を受けることで、ツールの利用当初は上手くいくかなという不安もありましたが、期待され始めたことを実感しています

弊社ツールの導入後、解析結果に対する社内理解を促すための何か施策は行われましたでしょうか?

定期MTGで結果を示したり、こんなことが出来ますとアピールをして、こんなことできませんか?とリクエストを受け、それに応えることで、使えそうだねという社内の理解を広げていきました。

また、研究発表会の中で知財戦略部として1つテーマを設けて、こういう成果が出ましたという発表をする機会を設けるといった活動もしました。

弊社ツールからどのようなアクションや成果へ繋がりましたでしょうか?

俯瞰解析は研究者の方にとっては馴染みの無いところで、最初は敬遠されがちだったのですが、こちらから機会あるごとにプレゼンをして興味をもってもらうことで、研究の初期段階に、俯瞰図を作ってくれないかと、依頼が来るようになり始めてきました。そういう意味では開発の部署として、スタートの段階で技術の俯瞰的な理解をしようというきっかけになっており、俯瞰的なものの見方というのが知財の中だけでなく、研究所全体の中に広がりつつあると思います。研究所側から依頼を受けることで、ツールの利用当初は上手くいくかなという不安もありましたが、期待され始めたことを実感しています。また、特許出願戦略の方向性についての妥当性を、視覚的な形で確認することで、周りの人に納得してもらえる点でも役立っていると感じます。

 

導入初期の利用から用途が広がっておられましたら、どのような活用がありますか?

研究者からのリクエストを受けて研究の初期段階で特許検索をするのですが、その中でもやることがまだはっきりしておらず、ぼんやりとした分野を対象にどんな特許技術があるか知りたいというケースがあります。そういった際、普通の検索ツールでは検索がしづらいので、俯瞰解析を使ってざっくりとこういう技術分野の特許がありますよと示すことがあります。

研究者の方からすると自分が注目する技術について俯瞰して欲しいと思うのですが、ぼんやりとした中ではある程度大きな技術分野を想定しないといけないので、その注目している技術に対して、どっち方向に技術分野を広げて俯瞰をするかというところが大事で、「どういう技術分野の中で、その技術を見たいですか」という聞き方を通して研究者の関心を引き出したり、関係がありそうな他の技術を聞いて、こちらで母集団を広げたりしながら、研究者の意向をある程度想定して俯瞰図を作成していきます。作った俯瞰図を見てもらって、そっちじゃなくてこっちの切り口で技術分野を広げて俯瞰図して下さいといったやりとりをしながら、より良く全体を見える俯瞰図を作っています。

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今後の活動について


研究者の方にも知財的な知識や感覚を持ってもらいやすい環境を作るなど、部門全体としてより良い情報収集を可能にしていけたらと思っています

弊社ツールを通して今後業務をどのように発展させていくご予定でしょうか?

研究者の方に研究初期の段階で、今やろうとしている技術の技術水準を知るために、周辺の特許技術を知識として持ってもらうためのツールとして提供していく点があります。そのために、知財戦略部としてデータそのものを提供するというところから、ツールを活用するところを含めて、研究者の方にどこまでやってもらうかを考えていけたらと思っています。ぼんやりとした概念で技術を集めてくるという作業をする際に、知財感覚と技術的な感覚とが一緒にあった方が良いので現在はインタビュー等のやり取りをしていて、今後さらに効率的に実施できると感じられるところもあるので、研究者の方にも知財的な知識や感覚を持ってもらいやすい環境を作るなど、部門全体としてより良い情報収集を可能にしていけたらと思っています

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VALUENEX Radar ご利用時の注意点について


1歩引いて俯瞰できるところがメリットだと思うので、最初のメリットは忘れないように注意しなければならないなと思っています

分析を進めるにあたり難しいのはどんなところですか?

俯瞰図を作るまでは簡単ですが、違和感と言いますか、そこから何かを読み取れるかどうかというところです。ある母集団を作って俯瞰図を描いた時に、技術分野によっては上流から下流へ本当にきれいにフローのように出てくる俯瞰図もあれば、うまく関連性を見出せない、ただ技術が一見意味もなく点在しているだけという俯瞰図が出来ることもあり、そこはそもそもそういう技術分野の特性なのか、あるいは母集団の設定が悪かったのか、というところについて試行錯誤をしています。

俯瞰図を作っては見たものの、そこから何か意味を見出せなかったという場合もありますし、そうするとそれ以上は進めなくなるので、そこから次の切り口を考えないといけないです。そこで止まってしまうものもありますし、いかに俯瞰図から何かを読み取るかということが出来るか出来ないか、というのが難しいところだと感じます。専門家の目というのは分析結果を読み取る上で大事なのかなと、最近の研究者とのやり取りの中でも感じています。

ご利用の中でどんな点に気を付けていらっしゃいますか?

ある領域がどういう領域なのか確認するためには、ピンポイントで1件1件文献を見ることは必要ですが、特定の文献を探すために使ってしまうと、そこはミスリードになる可能性があるので、その匙加減は気を付けなければいけないなと感じています。1歩引いて俯瞰できるところがメリットだと思うので、最初のメリットは忘れないように注意しなければならないなと思っています

弊社ツールについてどういった点が改善されるとより良いでしょうか?

Patents DBでの文献検索がしづらい点です。概念検索になっているので、例えば「栄養食品」という入力を試した際に、「栄養食品」ではなく「栄養」・「食品」をキーワードとして合致する文献を取ってくるので、ノイズが入ってしまいました。また、通常のフレーズ一致検索では出る文献が出ない場合があります。そのため現在はVALUENEX Radarと連携機能のあるパナソニック株式会社のPatentSquareで文献集合を作って使うというようにしています。正確性が求められる母集団作成時はPatentSquareで、ざっくり実施する時は概念検索、というように使い分けをして解決は出来ますが、トライ&エラーをする際にVALUENEX Radarで完結できる方が効率的だなと感じます。

また、特に英語文献を利用した際に感じることで、キーワードで本当に汎用な単語、意味をなさない単語が特徴語として出るので、それがあるがゆえに俯瞰図を描いた際に汎用性の高い言葉で集まってしまう時があります。ストップワードのリストを作ってアップロードも出来ますが、ツール上のキーワード一覧を用いてスムーズに分析語から除外できるようになったら良いと思います。

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インタビューへのご協力誠にありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。



掲載内容は取材当時のものです (2022年2月18日掲載)