IPBC Asia 2016
Description
知財ビジネス会議「IPBC Asia 2016」は知財価値の創造と企業の戦略的知財管理を中心テーマとし、アジアの国々の現状に即して議論をするカンファレンスです。今回は、中国の上海にて三日間で開催されました。中国開催のため、「中華人民共和国における知財訴訟、法廷闘争について」など中国に関するパネルディスカッションの内容が多く見られました。
参加者は、中国企業の方々のみならず、グローバル企業、特許法律事務所、その他知財関係者の方々500名以上が参加され大盛況でした。中国の経済成長に伴い、特許市場も成熟してきていることが実感できるカンファレンスでした。
VALUENEXはIPBC Asia 2016のパネルディスカッション「コンペティティブ・インテリジェンスを利用した知財価値の最大化:Maximizing value through competitive intelligence」でのスピーチを行いました。
パネルディスカッション 競争に勝ち抜くためのインテリジェンス
弊社代表の中村が、「コンペティティブ・インテリジェンスを利用した知財価値の最大化」という題目のパネルディスカッションに参加しました。モデレーターはKevin Feng氏(MediaTek, IP division, China director) 、パネラーはMiguel Iglesias氏(Questel, Sales director) 、Zhenpeng Guo氏(BOE, IP director)、そして中村達生(VALUENEX株式会社 代表取締役CEO)というメンバーでした。
MediaTekは台湾を代表する半導体メーカーで、スマートフォン、タブレットなどのモバイル端末向けの半導体チップ(SoC: System on Chip)を作っており、2015年の売上は約8兆円にも達する大企業です。一方、BOEは ディスプレイデバイス 、 スマートシステム製品、スマートヘルスケアサービスの3つの事業分野を有し、半導体ディスプレイステクノロジー、製品 及び サービスを提供する中国企業です。日本ではあまり知られていないのですが、MediaTekと同じく2015年の売上は7兆円を超える大企業です。このパネルディスカッションには、半導体関連の技術を有することは共通しているものの、製品の異なる2社と、知財分析サービスを提供するQuestel、知財の俯瞰解析を将来予測やR&D・事業戦略に活用するコンサルファームであるVALUENEXが集まり、競争に勝ち抜くためにビッグデータをどう活用するか活発に議論し、知財関係者にとって非常に有意義なセッションとなりました。
MediaTekとBOEの今後の協業の可能性
各々が企業概要と知財戦略について説明し、Questelの方が知財データを用いた知財管理の重要性について話した後、中村がさらに深く30年または50年を見据えた商品の開発、それを可能にするVALUENEXのインテリジェンスについて述べました。またパネルディスカッション参加者であるMediaTekとBOEが保有する特許の俯瞰解析も話題になりました。VALUENEXが2000年から2016年の特許(US公開公報)を分析した結果、MediaTekは約5,000件、BOEは約4,200件程度を保有しており、それぞれ違う技術領域に特許が分布しています。これは、半導体チップに特化したMediaTekとディスプレイに注力しているBOEの違いからだと考えられます。しかし、お互いの領域に技術もあり、MediaTekとBOEには驚く結果となりました。その技術は今後、MediaTekとBOEが協業できる可能性のある分野だと考えられます。さらに、中村がMediaTekとBOEの特許俯瞰図を見せて説明したところ、会場の多くの方が写真を撮っており、知財関係者方々の俯瞰解析への関心の高さが見て取れました。
また、来年の6月18日~20日にはカナダのオタワでIPBC Global 2017が開催されます。こちらはIPBCの中でも一番大きなカンファレンスであり、世界中から企業・学界・行政等を代表するような方々が集まります。ご興味のある方は、是非参加してみてはいかがでしょうか。