生物に学ぶイノベーション バイオミメティクスの技術動向分析

バイオミメティクスとは、生物の機能・構造を模倣して、工学技術に応用する分野であり、近年の顕微鏡技術や微細加工技術の発展により、多くの他分野への応用が期待される分野として注目を集めている。20世紀のバイオミメティクス研究はカワセミのくちばし形状を採用した500系新幹線や、ミツバチのハニカム構造など、自然界に存在する目で見えるスケールやミリスケールでの形状・機構・機能を人工的に模倣することが基本であった。しかし、電子顕微鏡による観察が一般的となり、ナノテクノロジーと融合することによって21世紀のバイオミメティクス技術はより複雑で微細な形状を模倣し、実際に加工技術によって再現することができるようになった。これらのマイクロ・ナノスケールにおけるバイオミメティクスの応用は、人間の眼には不可視の領域であるが、製品や技術に対して大きな付加価値を与えることが期待できる。また、医療分野への応用においては、自然に形成された細胞組織と人工物の境界を曖昧にし、人体組織に負荷のかからない再生医療技術や治療技術を実現することが期待される。現在バイオミメティクス分野の研究は大学・研究所を中心に行われているが、製品に与える付加価値の高さ、ナノテクノロジーの発展を背景に企業も参画することで、非常に潤沢な研究資源とテーマを抱える分野となる可能性が高い。

 そこで本レポートでは、VALUENEX株式会社が提供するTechRadar Visionを用いて、米国公開特許公報データをもとに、バイオミメティクス関連の技術動向およびプレイヤーの分析を行った。