2018.05.30.

+ フェイスブック:流出するデータ~技術的観点からみるフェイスブック&ケンブリッジ・アナリティカ事件~

2018 年3 月、フェイスブックが収集する8,700 万人にも上るユーザーデータが、ケンブリッジ・ア ナリティカ社を通じて政治的活動に利用されたことが判明した。今回の事件における重要な焦点と して、このような事態を招いた技術、我々のデータの利用可能性と影響範囲が挙げられる。 そこで本稿では、技術的な観点から本件の核心を明らかにするために、特許情報を用いてフェイス ブックの技術ポートフォリオを分析する。パンドラの箱を開けるに至った技術の原点を改めて辿るべ く、フェイスブックが最初に特許を取得した2008年から2018年4月にいたる米国特許商標庁(USPTO) のデータベースから、フェイスブックが取得している2,826 件の特許情報を収集し、VALUENEX 株 式会社が提供するテキストマイニング俯瞰分析ツール(VALUENEXRadar)による分析を行った。


2018.05.16.

+ 次世代材料として注目されるセラミックの国内開発動向

セラミックは古くから我々の身近なところで使われており、特にその耐環境性を利用し厳しい条件下でさまざまな分野にて応用がなされている。近年では耐熱性を活かしセラミック基板などの電子部品への応用が進められ、セラミックは高分子材料・金属に代わる次世代材料として、技術開発が注目されている。そこで今回は次世代基板材料などとして実用化が進められているセラミックについて公開された特許を収集し、技術開発動向について特許俯瞰ツールTechRadarを用いて調査を行っていく。


2018.05.09.

+ 大学保有知財俯瞰分析に基づく産学連携マッチングの可能性

大学が民間企業から受け入れる共同研究費­および共同研究実施件数は­近年続伸しており、日本国内において、平成27年では金額ベースで467億円となり、研究実施件数は2万件を越えた[1]。産学連携の形態としては、従来から企業の担当部門と大学研究室によるプロジェクトベースの共同研究が中心であるが、近年では大学と民間企業の比較的長期に及ぶ包括契約を締結する事例が出てきている。武田薬品工業株式会社(4502)と京都大学iPS細胞研究所、中外製薬株式会社(4519)と大阪大学免疫学フロンティア研究センターの包括契約がこれに該当する。また、大学発スタートアップ企業に対する民間企業の投資も盛んになりつつあり、産学連携の形態が多様化しつつある。
 投資規模、共同研究件数が増加傾向である一方で、これまでの経産省や文科省が実施してきた産学連携関連の調査報告によれば、解決が待たれる課題も見えてきている。課題の中で目立つものとして、研究領域、研究者のマッチングに関連のものが多い。大企業と大学の組み合わせでは「関係性の固定化」が課題としてあがっており、中小企業と大学では「そもそもお互いを知らない」「テーマのミスマッチ」が解決すべき課題としてあげられている。研究分野および共同研究先(研究機関、研究者)候補探索に関して、アンメットニーズが顕在化している。
 情報の網羅性を備えた効率的なマッチングチャネルの登場が期待されている状況であり、特許ビッグデータを用いた俯瞰分析が活用できる可能性がある。本レポートでは、2018年3月時点での国内大学総合ランキング上位10校の大学を対象[2]に、大学が出願した特許の俯瞰分析を実施した。大学が特許を出願している研究分野を可視化し、研究分野、研究者の探索の可能性に関して検討した。日本で公開された特許公報を元に分析を実施し、分析にはVALUENEX株式会社が提供するテキストマイニング俯瞰分析ツールXLUS TechRadarを使用した。


2018.04.18.

+ 任天堂の技術動向分析

2017年3月3日に任天堂(7974)より、持ち運べる家庭用テレビゲーム機「Nintendo Switch」が販売された。同テレビゲーム機は、人気タイトル「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」、「マリオカート8 デラックス」、「スプラトゥーン2」等の販売も貢献して、2018年2月時点で、全世界で1,213万台販売されている[1]。同社は1983年のファミリーコンピュータの発売を皮切りに、家庭用を中心としたゲーム機において日本を代表するメーカーとなった。
 任天堂は、PlayStationシリーズを手掛けるソニー・インタラクティブエンタテインメント、Xboxシリーズを手掛けるマイクロソフトとの競争で火花を散らしているが、スマートフォンの販売以降は、モバイルゲーム(またはスマホゲームとも呼ばれる)と家庭用テレビゲーム機といった、業界自体での競争が目立つようになっている[2]。
 このように、同業種内の競争から異業種間の競争へ変化していることもあり、任天堂自身は、eコマース事業を手掛けるディー・エヌ・エー(2432)との業務・資本提携を2015年に行っている[3]。2016年には、同社の関連会社である株式会社ポケモンとナイアンティックにより共同開発されたスマートフォン向け位置情報ゲームアプリ「Pokemon GO」を世界の主要各国でリリースし、爆発的なヒットを飛ばしたことは記憶に新しい。このゲームアプリは拡張現実(AR)とスマートフォン内のGPS機能を組み合わせて遊ぶものであり、従来の家庭用テレビゲーム機とは別種の「遊び」を提供している。
 また、同社は2018年4月20日に、NINTENDO LABOといった製品(段ボール工作キットでピアノや釣り竿等の道具を作成し、Nintendo Switch上で遊ぶゲーム)を販売予定していることからも、家庭用テレビゲーム機の従来の枠組みを取り払おうとしているようにも見受けられる。そこで、本レポートでは、任天堂の研究開発/技術開発の動向を明らかにするために、同社の出願した特許を対象にクラスター分析を試みた。


2018.04.04.

+ 5G時代到来:世界の技術動向を視る

2018年2月に平昌オリンピックが開催された。現場にいるかのようなリアルな感覚を超高精細画像配信で視聴者に届ける世界初の5Gトライアルサービスを、韓国最大の通信事業者KT(KRX: 030200)が実施した。この5Gトライアルでは、INTEL(NASDAQ: INTC)、ERICSSON(NASDAQ: ERIC)、SAMSUNG(KRX: 005930)が技術を提供した[1]。5G、いわゆる第五世代移動通信システムとは、現在規格化が進行中の次世代無線通信システムとして世界中で話題になっている[2]。  5Gの登場には、以下に示す3アイテムを中心に既存規格に関する様々な問題解決や機能拡張が期待されている。1.スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末の普及がもたらす多数の端末接続への対応2.大容量のリッチコンテンツの配信にとって超高速ネットワークに対するニーズ3.AI、IoT、自動運転、M2Mなど最先端技術が要求する低遅延技術 日本は2020年の東京オリンピックまでの5G実現に向け、積極的に研究を進んでいる。2014年9月、第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)が結成され、2017年5月に5Gは「フェーズコンセプト作り」から次のステージである「コンセプト実装」に突入することを宣言した[3]。世界的な取り組みとしては、日本の電波産業会(ARIB)、情報通信技術委員会(TTC)が参画する3GPP(The 3rd Generation Partnership Project)において5G規格化のプロジェクトが進められている。5G標準化について初の技術仕様は2016年のリリース15(5Gフェーズ1)である。リリース16(5Gフェーズ2)は国際電気通信連合が提出されたIMT-2020と連動して、2019年末に完成予定である[4]。
 本レポートでは、特許情報を俯瞰し、直近の5G技術動向および主要プレーヤーの技術ポートフォリオに関して分析した。日本、米国、欧州、中国、韓国で公開された特許公報を分析対象とし、分析にはVALUENEX株式会社が提供するテキストマイニング俯瞰解析ツールVALUENEXRadar Documents (DocRadar) を使用した。


2018.03.07

+ 電気自動車(EV)の躍進で重要度を増す電力 ー電力会社の技術開発状況ー

次世代のモビリティとして電気自動車(EV)の増加が見込まれている。フランスやイギリスでは、2040年以降に国内のガソリン及びディーゼル車販売を禁止する方針を打ち出した。また中国においてもEVをはじめとする新エネルギー車の導入を促進する政策を発表するなど、政策的な取り組みも含め、今後EVが急速にその数を伸ばす可能性が高くなってきている。このような動きに対し、各自動車メーカもEV開発に力を入れており、トヨタ自動車は2030年までにハイブリッドを含むEVの販売台数を550万台以上にするとの目標を掲げている。 EVの普及の可能性が高まるなかで、重要度を増すのはエネルギーソースである電力である。やや古いデータであるが、日本における2012年度の最終エネルギー構成比では、運輸部門は23.1%(3300pJ)と約1/4を占めており、そのうちの80%以上がガソリンあるいは軽油をエネルギー源としている(出典:エネルギー白書2014)。このうちのかなりの部分がEV化されるとなると、電力に係る負荷は大きなものになるものと考えられる。 EVの普及により今後さらに需要が高まる電力であるが、日本において、電力会社各社はどのような技術開発を行っているのか、またその開発にはEVによる需要増加やそれに伴う負荷変動は織り込み済みであるのか、といった点に関心が持たれる。そこで、2001年以降に公開された電力会社各社の特許をもとに、電力会社の技術開発動向、とくにEVあるいは負荷変動への対策について明らかにするために、クラスター解析による分析を試みた。


2018.02.21

+ Google中国市場再参入の鍵を握るTencentとの協業分析

最近、Googleが中国市場への再参入を検討している。今回は、SNSを手掛ける世界最大規模の総合IT企業であるTencentをパートナーとして選んだ。2006年の初参入時では、ネット検索サービスについて単独参入を行ったがうまくいかず2010年に一度撤退している。この失敗を踏まえての、パートナーと組んでの再参入である。2018年1月18日の発表では、「長期にわたる特許の共有で合意」したと言われている。但し、共有する内容について「幅広い範囲の製品と技術」と述べるにとどまり、詳細については語られていない。  そこで、本報告では、具体的に、どの技術分野での共有がなされる可能性があるかを調べるべく、VALUENEX株式会社が提供するテキストマイニング俯瞰分析ツールDocRadarを用いて、両社の特許の技術内容と、その技術類似関係を調査した。今回の共有におけるTencent側のメリットとしては世界進出、Google側のメリットとしては中国再参入である。前者の分析には世界特許の分析、後者の分析では中国特許の分析が必要となる。今回は、Googleの中国再参入の可能性を調べるべく、中国特許での分析を行った。


2018.02.07

+ 日本で投資拡大中のKKRは日立国際買収で相乗効果を生み出すか

米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)は2017年12月9日、日立製作所(6501)子会社の日立国際電気(6756)について、日立製作所が保有する51.67%を除く日立国際電気の普通株式に対する公開買付けを完了したと発表した。日立製作所は事業再編の一環として本業との相乗効果が小さい企業の売却を続けており、日立国際電気もその対象となった。  KKRは近年日本企業の買収を活発化させている。2014年のパナソニック(6752)のヘルスケア事業(現・パナソニックヘルスケア)の買収を皮切りに、2015年にはパイオニア(6773)のDJ機器事業(現・PioneerDJ)を買収したほか、2016年11月には日産自動車(7201)系列最大手のサプライヤーであったカルソニックカンセイのTOBを発表した。さらに2017年1月には今回の日立国際電気と同じく日立製作所から日立工機のTOBを発表している。いずれも技術開発を行う企業であり、各社の間に技術開発上の相乗効果が見込める可能性がある。そこで本レポートでは、KKR傘下のこれらの企業の国内特許出願を対象に、当社の提供する特許俯瞰解析ツールTechRadarにより解析・可視化することを通じて、各社の間の相乗効果を探った。 なお、上記日立工機までのKKRによる買収先企業に関する相乗効果については、2017年2月22日発行の当社レポート「KKRは傘下企業間の相乗効果を起こせるか」を参照されたい。


2018.01.24

+ 「デジタルメディスン」におけるベンチャー企業と大手製薬企業の技術親和性評価

医療ビックデータ・人工知能 (AI)・IoT (Internet of Things)とライフサイエンス技術との融合は、医療や創薬のパラダイムを根底から変革し、P4医療 (Preventive、Predictive、Personalized、Participatory) に向けた動きを加速している[1]。従来の医療情報に加えて、IT技術により得られる新しい医療情報を融合することにより、患者の個人レベルでの最適な治療を行うことがP4医療の概念である[2]。一方で、多様な分子情報(ゲノム、オミックスなど)を収集、データベース化し、分析することが、P4医療を実現するための課題とされる[3]。融合分野において活躍が期待されているのが、関連分野のIT技術に特化し、創業されたベンチャー企業のである。2003年にカリフォルニアで創業したベンチャー企業Proteus Digital Health (PDH) はITと医薬品・医療機器技術を融合させた製品・サービスの研究開発を主事業とする。同社は2009年に製薬大手ノバルティス製薬と、2012年には大塚製薬と相次いで共同研究を開始した[4]。2017年、PDHは、抗精神病薬の錠剤に極小センサーを組み込んだ世界初のデジタル医薬品「エビリファイ マイサイト」が米食品医薬品局 (FDA) から製造販売の承認を受けたと発表した[5]。最近では、世界的製薬メーカーが従来は困難であった生体内の各種測定やデータ収集を、様々な技術を融合して実現しようと動き始めている[6]。 本レポートでは、①PDHの全体の特許を事例に、俯瞰分析を用いて、デジタルメディスン関連技術を抽出し、技術動向分析を行った。②PDHとノバルティスグループ、大塚製薬グループ (4578) の医薬品および医療機器技術の親和性評価に関して検討した。分析には、VALUENEX株式会社が提供するテキストマイニング俯瞰分析ツールDocRadarを用いた。


2018.01.10

+ テレビに関する日韓の技術開発動向

テレビがブラウン管から液晶に変わって久しい。当初、日本メーカーの独壇場であったが、近年はサムスンやLG電子の販売数が伸びており、ディスプレイパネルの自社製造から撤退したメーカーも多い。一方で、日本のメーカーが開発した画像処理技術を用いた4Kテレビを量販店がプライベートブランド製品として販売し、すぐに完売しているなど、日本メーカーがもつ要素技術を有効活用する事例も出てきている。 そこで、今回はテレビに関連した技術開発の動向をVALUENEXが提供しているTechRadarを用いて分析する