2016.11.30.

+ 中国企業に猛追される富士通

日本のエレクトロニクス産業が世界市場で苦戦している理由の一つに新興国、それも中国企業の台頭があげられることが多い。雁行型の産業成長曲線が、時代とともに地域を変えて、再起される歴史の定めでもある。しかし、日本の白物家電が世界シェア上位を得るのに20年を要したのに対して、中国企業の猛追速度は5年程度と極めて短い。米国のビジネススクールでMBAを取得した国際感覚豊かな若者がマーケットドリブンの経営を行い、すぐさまグローバル展開を行っていることが特徴の一つでもある。その一つのCase Studyとして、Xiaomi(小米科技)を例に挙げたい。Xiaomiは、2010年に北京にて創業された総合電機メーカーである。若者向けのおしゃれな低価格のスマートフォンで市場シェアを伸ばし業績を伸ばした。現在は、大手VIVO(歩歩高)、HUAWEI(華為技術)、MEIZU(魅族科技)も同じ手法にて低価格スマートフォンを手掛けているためシェアが低下している。このためXiaomiは総合家電メーカーへと事業を展開しはじめている。もとより、雷軍CEOはXiaomiを単なる端末メーカーではなくネットワーク会社と位置付けているため、IoTの市場が拡大するなか、積極的なグローバル展開が進められている。同じくスマートフォンメーカーとして米国進出し急速に家電製品を事業展開している企業にLeEcoの存在もある。


2016.11.24.

+ ~ダビンチで話題、手術支援ロボットの注目企業~

近年、医療分野において手術支援ロボット、ダビンチが注目を集めている。この装置において、術者は3Dカメラからの立体画像により、遠隔で手術を行うことができ、細かい動作も可能で患者負担の少ない手術を行うことなどのメリットが謳われている。 ダビンチを開発したインテュイティブサージカル社は、ナスダック上場の米国企業である。同社HPによるとダビンチのプロトタイプは、旧スタンフォードリサーチインスティテュートが米軍との契約下で作成、2000年にFDAに承認されたとされている。直近の医療機器分野の技術動向において把握すべき重要な技術動向と考えられる。そこで、ダビンチを開発したインテュイティブサージカル社と、国内企業の手術支援ロボット開発の競合関係を探るためそれらを対比する俯瞰図を作成し、分析を行った。


2016.11.16.

+ 人工知能分野における技術開発動向分析: 成長領域と周辺企業の機会

現在、人工知能(AI: Artificial Intelligence)は第3次ブームを迎え、世界中で熾烈な研究開発競争が勃発している。人工知能は、技術的側面だけでなく、社会に対してポジティブな効果を及ぼしつつも、生命観の変化といった倫理的問題、失業者増加等の社会的・経済的問題にも議論が発展し大きなムーブメントを引き起こしている。
 技術的側面から見ると、過去2回、人工知能はブームと冬の時代を経験している。1回目は1950-60年代にあり、「推論・探索」の時代であった。続いて2回目は1980年代にあり、エキスパートシステムといった「知識表現」の時代であった。そして3回目である今回は「機械学習」の時代と言われている。今回のブームでは、ICTの技術発展(クラウド、ビッグデータ等)とDeep Learningといった機械学習アルゴリズムのブレークスルーも相まって、引き続き今後の成長が期待されている。このような背景のもと、人工知能技術に何かしらの形で参入または技術の活用を目指している企業も多いのではないだろうか。
 そこで本レポートでは、1. 人工知能技術における主な技術領域と動向、2. 主要プレイヤーの動向、3. 成長領域とそれをチャンスにできるかもしれない周辺企業を明らかにする。今回は、当社が提供するTechRadar Visionを用いて、人工知能技術に関する日本国公開特許公報をもとに分析を行った。


2016.11.09.

+ 和光純薬工業の買収劇 俯瞰解析で見た応札企業の技術シナジーの可能性

016年7月、富士フイルムホールディングス(4901)が武田薬品工業(4502)の子会社である和光純薬工業の買収を提案した。和光純薬工業は非上場企業だが、2016年度の売上高は757億円の創薬研究用試薬では国内トップのシェアの企業である。
 このニュースを受け、日立化成(4217)を中心とした日立グループ、2016年に東芝メディカルを傘下にいれたキヤノン(7751)など国内外の企業が買収に乗り出すというニュースが報じられた。国内外に大きく報道されたこの買収劇は2016年11月に武田薬品工業が約2,000億円規模の買収額で、合意し2016年度中には手続き完了を目指すという結末を迎えた。
 今回は和光純薬工業(以下和光純薬)の買収を行う富士フイルムホールディングス(以下富士フイルム)と、応札に参加した日立グループ(以下日立)、東芝メディカル・キヤノン(以下東芝メディカル)について特許俯瞰ツールTechRadarを用いて、俯瞰解析を用いて、各社の技術シナジーなどについて調査を行っていく。


2016.11.02.

+ GoogleとNovartis -製薬業界の転換期をどう乗り越えるか。

大型医薬品の相次ぐ特許切れが製薬業界を揺るがした「2010年問題」から5年以上の歳月が経つが、製薬業界では後発医薬品との競争激化や新薬の不足等、問題は尽きない。
 そのような中、NovartisとGoogleは2014年に糖尿病患者向けのスマートコンタクトレンズを発表した。これは製薬業界とIT業界による共同開発という新たな動きであった。IT企業と製薬企業といった一見関連性のない企業でも共同開発を行っており、大変興味深い。共同開発を想定した場合、両社が保有している技術を持ち寄り、研究開発を行うと考えられる。したがって、両社の技術に一定の共通性が必要であると考えられるが、それぞれどのような技術を保有していたから、共同開発を行おうと考えたのか?また、両社の接点はスマートコンタクトに限定されたものなのだろうか?
 両社が開発を行っている技術から、これらの可能性を検討した。


2016.10.27.

+ 市場の激化が予想される業務用3Dプリンターの特許でみる技術開発動向分析

従来の製造技術では作ることが出来ない、複雑な構造のものを製造可能な3Dプリンターは、医療分野をはじめ、建設、自動車、航空・宇宙分野など、多くの業界で注目されている。製造業では、特に製品の試作段階において利用されており、また医療分野では、義手や人工骨の3Dプリンターによる製造が実用段階に入りつつある。 金型などを用いた従来技術と比べて3Dプリンターは、大量生産には向かないが、オーダーメイドには非常に相性が良い。人ぞれぞれの体形に合わせて作成される義手や人工骨などはその最たるものである。また、自動車業界では、小型電気自動車のボディ外装を3Dプリンターで作成することで、顧客側の細かな要望に応えていくことが考えられている。 現在、一般消費者向けの3Dプリンター市場は下火である。しかし、高品質・高価格の業務用3Dプリンターに関しては、米HPや、日本の大手プリンターメーカーが、3Dプリンター市場への参入を表明しており、まもなく市場が激化することが予想される。さらに業務用ともなれば、用途開発もまた期待される分野である。そこで、3Dプリンターに関する日本各社の技術開発動向を分析し、どのような企業が3Dプリンターに注目しているのかを明らかにしていく。


2016.10.20.

+ 農業の効率化に寄与する収穫機・収穫ロボットの技術開発動向

パナソニック(6752)はトマトの収穫ロボットの開発、試験販売の計画を明らかにした。画像処理技術で熟したトマトを特定し、ロボットハンドによりトマトを収穫するという。農業の人手不足への対応や、効率化が課題となる中で、人手に頼る部分の多かった収穫は農業機械が広く導入されているが、機械化の難しかった作物の収穫で今後、収穫ロボットが活躍の場を増やすと予想される。また、収穫ロボットの技術開発では農業機械メーカー以外の企業の参入が予想され、技術開発動向が転換を迎える可能性も考えられる。  収穫機に関する技術開発はどのような動向を示しているのであろうか。果物、野菜、根菜等の収穫機に関連する日本国公開特許公報を収集し、弊社の提供する特許解析ツール TechRadar Vision (テックレーダービジョン)により俯瞰レーダーを作成し、分析する。


2016.10.13.

+ ソフトバンクの英ARM買収はあらたな事業への前哨戦

Soft Bank(9984)が英半導体設計大手のARMを英国市場最大の243億ポンド(約3.3兆円)で買収を9/5に完了させた。ソフトバンクが売り上げ、純利益、営業利益ともにドコモを超えた2013年以降、孫社長の海外事業の拡大は手を緩めることがないように見える。ARMの買収に先立つこと、2006年にイギリス・ボーダフォン買収額1兆7,500億円、4年前の2013年7月に米国の通信キャリアーであるSPRINT社も1兆8,000億円で子会社化したが、ARMの買収は、その金額をはるかに超えている巨額のM&A案件であった。 これらのM&Aはその巨額さゆえに、孫社長の野望と経営手腕に衆目が集まるが、技術的なシナジーについて詳述している記事をみかける機会が少ない。そこで、Soft Bank、ARM、Sprintが出願、もしくは権利を有しているUS Application Patentを収集し、各社の研究開発の傾向、最近の潮流、三社の共通領域、今後向かう領域について俯瞰解析を実施した。対象となる文献は2001年以降に公開された2,066件であり、近年急増傾向にある。


2016.10.06.

+ 製造業復権の可能性、データ駆動技術の動向分析

近年、現象の予測・制御を行うアプローチに変化が起きつつある。少し前までは、現象を支配するモデルを想定し、そのモデルのパラメータを観測値から決定することで、予測を行うことが主流であった(モデル駆動)。この方法は、現象の因果関係が明確になるメリットはあるものの、実際の複雑な現象が、単純なモデルで正確に表現することはあり得ず、予測の精度が悪い。一方、最近、注目を浴びつつあるデータ駆動では、シンプルなモデルの仮定は放棄して、現象の説明はできないものの、実際に起きるデータのパターンを調べることで、より正確に予測・制御することが可能となってきつつある。 このデータ駆動に関する技術動向を調べるため、その先進国である米国の公開公報を用いて分析を行った。分析には、VALUENEX株式会社が提供するテキストマイニングによる俯瞰ツールXLUS TechRadarを用いた。


2016.09.29.

+ 新事業の拡大を目指すデンソーの新技術領域

自動車部品国内最大手のデンソー(6902)は2016年9月14日、自動車部品以外の新事業の育成に本格的に乗り出すことを発表した。2011年に新事業の担当部署を設立した同社は、自動車部品の技術を応用し、「マイクログリッド」「セキュリティ」「ヘルスケア」「農業支援」「コールドチェーン」「電動アシスト」「情報ソリューション」「バイオ」の8分野に展開している。これら新事業の売上高は現在650億円弱だが、2020年度までに1,000億円に拡大する計画である。5割以上の伸びを期待されているなか、各事業においては、「ヘルスケア」における自動追従型手台ロボット「iArmS」など、既存商品以外に商品化が近いものもあるが、これらに加え新事業を強化していく技術開発は行われているのであろうか。本レポートでは、デンソーの膨大な特許出願を弊社の提供する特許俯瞰解析ツール「TechRadar」により解析し、自動車部品との関連性が低い技術を中心にピックアップした結果を紹介する。