2016.09.23.

+ 新規参入が続く映像配信に関する動向分析

映像配信(インターネットテレビやビデオオンデマンド)の新規参入が続いている。テレビ朝日(9409)はサイバーエージェント(4751)と「AbemaTV」を設立し、24時間無料でのインターネット配信事業に乗り出しており、配信開始から約5か月でアプリのダウンロード数が800万に達したとしている。また、NHKオンデマンド等のテレビで放映されたコンテンツを有償で配信したり、HuluやGAO等、定額で映画等を配信するサービス等も数多く行われている。スマートフォンの普及やネットワーク環境の整備により、家庭で、パソコンを使わなければ見ることが出来ない時代とは異なり、いつでもどこでも映像を見ることが出来るようになったことから、映像配信形態の一つとして急速に普及が進んでいくものと考えられる。一方で、ネットワーク速度が遅い場合、映像が途切れるといった課題もいまだ存在しており、技術開発がまだまだ必要な状況にあると考えられる。そこで、今回はインターネットなどのネットワークによる映像配信に関する技術開発動向を分析する。


2016.09.15.

+ NNIから15年を経たナノ粒子技術

米国クリントン政権がナノテクノロジーに対する積極的投資(国家ナノテクノロジーイニシアチブ、NNI)を開始したのは2001年度からであり、これにより世界的にナノテクノロジーブームが到来した。当時ナノテクノロジーで先行していた日本も例外ではなく、ナノマテリアルやナノ加工など、様々な分野でナノテクノロジーへの取り組みが活発化した。それから早や15年が過ぎようとしている。
 ナノテクノロジーの代表的な研究領域の一つにナノ粒子がある。粒子のサイズをナノスケールにすることで、量子的挙動や低融点化など、バルク材料とは異なる挙動を示すことで注目され、多数の研究開発が行われた。これらの研究成果はどのように製品に結びつこうとしているのか、また産業ベースで見た場合、技術開発はどのように変化していきているのであろうか。ここではその一端として、日本国公開特許公報をリソースとし、ナノ粒子に係る技術開発の変遷とそのプレイヤーを明らかにした。


2016.09.08.

+ iPS細胞の次~ゲノム編集と再生医療の注目企業~

近年、CRISPR/CAS9を導入することで、効率的にゲノム編集ができることが発見され、注目されている。CRISPR/CAS9を用いることで、DNAを切断し、任意の場所を削除、置換、挿入することが可能となる。そのためこの技術は、HIVの遺伝子治療、再生医療、動植物の品種改良などへの応用が期待され、積極的に研究されている。2015年には、中国において、この技術を用いてヒト人工授精卵の遺伝子操作が行われたことで大きな話題となった。現在バイオテクノロジーにおけるiPS細胞の次の有望技術として注目されている。
 CRISPER/CAS9の特許動向は、バイオテクノロジーあるいは医療技術の投資先、提携先、市場動向を把握するうえでも重要な情報と考えられる。また、CRISPER/CAS9で遺伝子を改変された細胞を人体へ戻すことも可能となることが想定され、再生医療の最重要技術であるiPS細胞技術との関係を知ることも重要である。そこで、iPS細胞に関連する特許と、CRISPER/CAS9に関連する日本国、米国、中国、欧州、世界知的所有権機関の公開特許公報を収集し、弊社の提供する特許解析ツール DocRadarにより俯瞰図を作成して両者の関係性を分析した。


2016.09.01.

+ ビジネス・社会革新の旗手「ポケモンGO」で注目される拡張現実(AR)技術の動向分析

ポケモンGOが世界中で一大ブームを巻き起こしている。ダウンロード数は配信開始から1ヶ月で1億件を超え、収益も配信初月で200億円を超えるというモンスターアプリである。そのインパクトはゲーム業界だけに留まらず、地方創成や企業マーケティングにも及んでいる。鳥取県では、「鳥取砂丘スナホ・ゲーム解放区宣言」を打ち出し、現実と仮想の世界を組み合わせることで、観光地の魅力を向上させる戦略に打って出た。また日本マクドナルド(2702)では、ゲーム内で重要となるスポットを各店舗に設置し、集客効果の向上を図っている。
 一方で、様々な軋轢があることも確かだ。実際に、プレイ中の不注意が原因の事件・事故が発生しており、ふさわしくない行為としてプレイが禁止となっている場所もある。しかし、このような社会的軋轢が発生するのも、それだけこのゲームアプリが与えるインパクトが大きく、革新が起こりつつある証拠であろう。
 このようなビジネス・社会革新を起こしつつあるポケモンGOは、日本の任天堂(7974)や株式会社ポケモンが誇る「ポケモン」というコンテンツIPと米ナイアンティック(位置情報を活用したゲーム「イングレス」の開発会社)の技術が掛け合わさった賜物である。つまり、イングレスで培った位置情報活用技術と拡張現実技術(Augmented Reality、以後AR)をベースに、ポケモンという世界中で愛されている日本のコンテンツが融合したことで爆発的ヒットを起こしたのである。
 ARとは、現実世界にコンピュータによって何らかの情報を付加させ、現実を拡張表現する技術の総称である。仮想現実(Virtual Reality、以後VR)という似た言葉があるが、これはコンピュータで人工的に現実感を作り出すものであり、ARとは異なる概念である(なお、VRの技術トレンド分析は、弊社レポート「二度目のブームを迎えたバーチャルリアリティとプレイヤー(2016.1.20配信)」を参照されたい)。ポケモンGOのARアプリとしての評価は、「ポケモンGOはARがVRよりも主流になることを証明した。[1]」や「コンテキスト・アウェアなコンテンツではあるがARではない。逆にARの評判を落とす。[2]」等と意見が分かれるところだが、このような論争も含めて、社会にインパクトを与えたARアプリと言っても良いだろう。今後、多方面でARを活用したサービスが活発化する起爆剤となり得る。そこで本レポートでは、AR技術がどのような変遷を辿り、主な技術領域や主要プレイヤーを明らかにする。特に日本国内でのAR技術について、VALUENX株式会社が提供するTechRadar Visionを用いて国内特許公報をもとに分析を行った。


2016.08.25.

+ パワーデバイスなど最新技術を支える蒸着・スパッタリング技術の最新技術動向

近年、表面に機材とは異なる金属や酸化物を付けて機能化させる蒸着・スパッタリングが注目されている。蒸着・スパッタリングは決して新しい技術ではないが、半導体の微細化配線技術、ガスバリアフィルムや透明導電膜などの機能性フィルムなどの製造には欠かせない技術であり、食品包装や電子デバイス、ディスプレイ、コンデンサ・キャパシタなどの最新電子機器・部品など広い分野で利用されている技術である。
 よって、今回は蒸着・スパッタリングについて公開された特許を収集し、周辺の研究開発動向についてTechRadar、DocRaderを用いて調査を行っていく。


2016.08.18.

+ 医薬品業界の特許切れ問題-塩野義製薬と共和薬品工業の研究動向

日本の医療費総額が40兆円を突破し、今後も高齢者の増加とともに、ますます医療費が拡大するといわれており、製薬会社をはじめ、様々な医療関連技術のビジネスモデルが見直しを迫られている。
 医薬品の国内市場では、割安なジェネリック医薬品が急速に普及しており、政府は18~20年度までにジェネリック医薬品のシェアを80%以上に高める方針である。一方ジェネリック医薬品の処方が増えると、その分特許切れ新薬の販売が減るため特許切れ新薬の比率が高い企業は苦戦を強いられる形となる。
 上位のシェアを誇る塩野義製薬(4507)は、2016年8月2日に、特許切れの医薬品を共和薬品工業(インドのジェネリック医薬品業者大手ルピン傘下、精神神経系に強みを持つ。)に154億円で売却することを発表した。これは塩野義ブランドの医薬品を引き継ぐことで、国内でのシェア拡大を狙っているとされている。
 売却対象は塩野義製薬が開発した睡眠導入剤や抗うつ剤など精神神経疾患系の治療薬など21製品となる。同社が移管するのはすでに特許が切れた長期収載品であり、販売地域と疾患を選択・集中化させる(地域:日米欧亜・疾患:感染症・疼痛・代謝疾患・フロンティア)ことで売り上げを拡大してゆく計画である。
 今後、医薬品業界で生き残るにはそのような研究開発・ビジネス展開をするべきなのか、考えなければならない。


2016.08.11.

+ ソニーから村田製作所に譲渡される電池事業における技術資産の俯瞰解析

2017年3月を目途にソニー(6758)が、村田製作所(6981)に電池事業を譲渡することを発表した(2016年07月28日付ニュースリリース)。譲渡の対象は、アルカリ乾電池などの一般消費者向け販売事業を除く、国内外の電池事業に関連する資産や人員を想定しており、法的拘束力を持つ契約を2016年10月に締結する予定としている。ソニーの電池事業部門は、従業員数は国内外で約8,500人、2016年3月期の売上高は約1,600億円に上っている。しかし近年では、中韓勢との価格競争による赤字が続いており、一方で「中期構想2018」の経営目標としてエネルギー分野を注力市場とする村田製作所と、利害が一致したと思われる。
 電池事業の譲渡によって、村田製作所をどれほどの資産を有することが可能であるのか。技術資産を表す特許ポートフォリオの観点によって概況を確認するため、VALUENEX社の提供する文書情報解析ツール DocRadar(ドックレーダー)により俯瞰解析(技術分野のマップ化)を実施した。


2016.08.04.

+ 環境問題への取り組みで大きな役割を果たすろ過材の技術開発動向

日立造船(7004)は、ろ過装置の海外展開を推進しているが、そのファーストステップとしてハンガリーで電子機器工場向けに高度浄水用ろ過装置を受注したと報じられた。このろ過装置は、ろ過材に特殊な繊維を球形にしたものを用いることに特徴がある。
 ろ過装置は液体や気体から固体粒子等を分離する。多くの環境問題の議論に、この分離の技術が密接に関連する。典型的には、排気ガスや排水から不純物を除去するような場合にろ過装置が利用される。また、近年の人口動態変化や気候変動などを背景に報道が目立つようになっている水ビジネスとの関連性も深い。
 ろ過装置の性能はろ過材に大きく左右される。冒頭に述べた日立造船の技術もろ過材に特徴のある技術である。ろ過技術に対する社会的な要請が高まることが予想されるが、鍵を握るろ過材に関してどのプレイヤーがどのような技術を開発しているであろうか。ろ過材の技術の開発動向を知るため、関連する日本国公開特許公報を収集し、弊社の提供する特許解析ツール TechRadar Vision (テックレーダービジョン)により俯瞰レーダーを作成し、分析する。


2016.07.28.

+ 遮熱技術の広がりとプレイヤー

世界のエネルギー消費量は増加の一途を辿っている。資源エネルギー庁の資料によれば、1990年の世界のエネルギー消費量は原油換算で約75億トンであったものが、2010年には約100億トンに増加した。さらに2030年には1990年の約2倍に到達する見込みとされており、とくに一人当たりのエネルギー消費量の多い先進国では、省エネルギー技術開発は必須課題であると考えられる。 省エネルギーに対する取り組みに関しては、石油や天然ガスなどの一次エネルギーレベルから電力等の二次エネルギーレベルまで、さまざまなレベルでの取り組みがなされている。熱エネルギーに関しても例外ではなく、排熱回収や熱電変換など、様々な技術開発が行われている。 熱エネルギーの利活用あるいは制御技術において、もっとも身近なものは遮熱であろう。遮熱は文字通り外界からの熱の侵入の防止や内部からの熱が外に漏れないようにすることであり、例えば夏場に住戸や自動車内部に熱が入らないようにする技術である。なお、遮熱と断熱を明確に分けている場合もあり、この場合、遮熱は電磁波による熱の運搬を抑制することとされている。 身近な遮熱技術であるが、その技術開発や応用先はどのように推移してきたのであろうか。ここでは遮熱技術のトレンドを明らかにするために、遮熱に関する日本国内の特許公報の分析を行った。


2016.07.21.

+ 0から1を生み出すイスラエル国の全特許分析

現在、イスラエル発の技術が世界に溢れている。飲み込むことで腸内の情報を取得する「カプセル型内視鏡」や、マイクロソフト社のゲーム機Xboxのプレーヤーの動作を読み取る「キネクト」、携帯の非接触給電も、イスラエル発である。最近では、アップル、フェイスブック、グーグルなどの米国大手IT企業による、イスラエル発IT技術、ベンチャー企業の買収が目立っている。0から1を生み出すのが得意と言われるイスラエル企業と、1を100に育てるのが上手な日本企業とのコラボも真剣に検討されている。中国・韓国は、既に日本より先に買収に乗り出しているとの情報もある。
 この世界最先端のイスラエル技術の全体を俯瞰するため、イスラエル国特許の解析を行った。分析には、VALUENEX株式会社が提供するテキストマイニングによる俯瞰ツールXLUS DocRadarを用いた。