分析レポート

VALUENEXの解析ツールを使って、当社が独自に分析している様々なレポートをお届けします。ぜひご活用ください。  

 

2016.04.28.

+ 物流の混乱を防ぐには?主要輸送業の技術開発

熊本で発生した地震はその大きさや回数からこれまでにない影響を与えている。中でも必要な物資が届かない等、物流が麻痺する事象は東日本大震災においても発生し、今回の地震でも同様の問題が繰り返されている。交通網が寸断され、道路が混乱する中必要な物資を被災地に送り届けることは簡単なことではないが、人の生命を左右する重要な事柄である。また、貨物の取り扱いが増える時期には配送が混乱する等の事象も発生することから、災害時に限らず物資の輸送を効率的に行う事は重要であると考えられる。そこで、今回は主要輸送業の技術開発の概要を確認する。


2016.04.21.

+ 地震にまつわる技術の開発動向

2016年4月、またしても日本を巨大地震が襲った。日本の地震有識者が、東北、関東、東南海地震については頻繁に巨大地震の発生リスクを語ることはあったが、一般人にとって、今回の熊本で発生した巨大地震は意外なものであった。 日本は世界的にみても多くのプレート境界がある上、世界一の数の断層が列島中に分布しているため、M6.0以上の地震の20%以上が日本で発生しているとのことである。確率的には日本列島上のどこで巨大地震がいつ発生しても不思議ではないということであろう。天気予報と異なり、地震は地球規模のダイナミックかつ様々な要因が関連した自然現況であるため、予測が難しいことは素人でも容易に想像が付く。それでも、技術開発は2011年の東北地方太平洋沖地震をきっかけにさらに盛んになっている。 米国に出願された特許件数は年々増加しており、2015年に公開された米国特許公報は年1,400件に達している。2001年以降に出願された米国公開公報約12,000件をVALUENEX社の解析ツールTechRadarを用いて一枚のレーダー図に可視化すると、大きく二つのカテゴリーにわけることができる。 ひとつは構造物の耐震性に関する技術領域である。Wall, panel, joint等に代表される技術であり、従来技術の改良特許である。残りのもう一つは、コンピュータシステムに関する技術領域である。この数年はネットワークに関する技術が増大している。両技術領域の間に、疎な領域ながら、予測や推計に関する領域が存在している。これらは若干システムに寄った領域であり、センサー技術との連携に関する発明が出願されている。精度の高い予測は、現在の技術においてもまだ困難であるが、モニタリングの技術開発は急増している。また、増粘剤からなる群、ゲル化剤およびレオロジー剤からアポロ粒子混合物などを用いた免震技術も一部で急増している。 将来的に、地球内部の構造をシミュレートするには、さらなる計算能力を必要とする上、人工知能技術も必要となるだろう。レーダー図では中心付近の空白領域に出現することになる。早期の実現を期待しつつ、地震にて避難所生活を余儀なくされている皆様にお見舞いを申し上げたい。


2016.04.14.

+ 次の日本人ノーベル賞有力候補 金ナノ触媒 非白金族金属触媒を取り巻く技術動向

触媒(しょくばい)とは、特定の化学反応の反応速度を速める物質で、自身は反応の前後で変化しないものをいう。白金、パラジウム、ロジウムなどの貴金属やそれらの合金を触媒として、自動車の排ガス中に含まれる有害物質を除去したり、水素やメタノールを燃料として発電する=いわゆる燃料電池に利用したりと、今日では多くの分野に様々な種類の触媒が利用されている。 研究開発においては鈴木章氏(北海道大学名誉教授)がパラジウム触媒を用いたクロスカップリング反応により2010年のノーベル化学賞を受賞したのをはじめとして、多くの触媒反応がノーベル賞を受賞している。これらの触媒反応の多くは白金族金属を触媒として利用したものが多いが、白金族金属は埋蔵量が少なく触媒材料のリサイクルも容易ではないため、代替の触媒材料について研究開発がすすめられている。近年、春田正毅氏(首都大学東京名誉教授)が金ナノ触媒に関する研究でノーベル賞の登竜門といわれるトムソン・ロイター引用栄誉賞を2012年に受賞し、近い将来のノーベル賞の有力候補と見込まれており、非白金族金属触媒の研究はさらに進められていくと考えられる。 よって、今回は金触媒を中心とした白金族を除く金属触媒について出願された特許を収集し、周辺の研究開発動向について特許俯瞰ツールTechRadarを用いて調査を行っていく。


2016.03.31.

+ 企業と大学の共同研究による次世代技術、異業種参入の可能性

市場を変革し得る先端技術が開発されるのは企業の研究者からとは限らない。例えば、本技術俯瞰解析レポートにて以前に紹介したリチウム二次電池に代わるナトリウム二次電池について、東京理科大学などの大学機関が実証を行っているように、また近年では筑波大学より、金やパラジウムなどの希少貴金属のリサイクル方法について、大幅な低コスト化を実現できる藻類を用いた方法が発表されたように、現行の市場を大きく変え得る最新技術は大学などの研究機関を発端とすることがある。 企業側もそのことを重々承知し、大学側との共同研究として、人員の派遣や研究費の負担などの行う企業は多数存在する。一概に言えるものではないものの、営利団体である企業が共同研究として当たる技術は、将来的に市場展開性を持ったもの、少なくともそれを見出しているものである可能性が高い。 よって、今回は大学機関が出願した特許を収集し、特に共同研究の技術を捉えるため、民間企業と共願を行っている特許の概況について、特許俯瞰ツールTechRadarを用いて調査を行っていく。


2016.03.24.

+ スマートメーターの普及で注目を集める 電力量測定技術の技術開発動向

2016年4月の電力小売全面自由化により、家庭や商店でも電力会社を自由に選択できるようになる。電力会社の切り替えには、電力量計としてスマートメーターの設置が必要となる。既に東京電力(9501)など各地域の一般電気事業者もスマートメーターの導入を進めているが、電力小売全面自由化はスマートメーターの普及を加速すると考えられる。スマートメーターは、従来のアナログ式誘導型電力量計と異なり、デジタル計測である、通信機能を持つなどの特徴がある。また、次世代の電力供給網として開発の進むスマートグリッドにおいても、スマートメーターが果たす役割は大きい。 エネルギー問題が注目される昨今にあって、消費される電力消費量を測定する技術についても高い関心が払われている。リアルタイムな電力量の測定など、電力量計に対する要求が増える中で、電力量計に関係する技術の開発も進んでいる。そこで、電力量計など電力量測定に関する技術開発動向を知るため、関連する日本国公開特許公報を収集し、弊社の提供する特許解析ツール TechRadar Vision (テックレーダービジョン)により俯瞰レーダーを作成し、分析する。


2016.03.17.

+ 熱電変換技術の動向とプレイヤー

エネルギーには電気や光、運動など様々な種類があるが、すべてのエネルギーは最終的には熱エネルギーとなる。そのためエネルギーの効率的な利用のためには廃棄された熱エネルギーを再度利用しやすいエネルギー形態に変換する必要がある。その一つが熱電変換である。 熱電変換は金属や半導体の異種接合の両端にある温度差を電力に変換するものであり、その原理はゼーベック効果として1821年に発見されている。熱電発電に関しては無線中継基地電源や軍用可搬電源、あるいは体温で発電する腕時計など一部で実用化されているが、現状で排熱回収に広く利用されているとは言い難い状況にある。一方で、欧州では2014年9月からNew Thermoelectric Oxides for Energy Harvesting(TEOX)プロジェクトが開始されており、日本でも「熱電変換材料・デバイス高性能高信頼化技術開発」における新たな技術シーズ発掘のための小規模研究開発」が昨年9月にNEDOで実施されるなど、国内外で活発な開発投資が行われている。そこで熱電変換に関する国内での開発状況とプレイヤーについて、日本国特許公開公報をリソースとしてクラスター解析を行った。


2016.03.09.

+ 素数を産業応用したユニークな特許の分析

今年2016年の初めに、過去最大となる約2,233万桁の素数が発見されたとのニュースが世界を駆け巡った。国内では、去年に某国立大学の生協で「素数ものさし」なるものを販売したところ、不便であるにもかかわらず、かなり売れたと評判になった。素数に関する「リーマン予想」の証明には、懸賞金100万ドルがかけられているものの、150年以上経った現在でも未だ証明がされておらず、こちらも世間の関心が高い。 数学の中でも実用にかなり離れた分野で、産業応用からは無縁の印象があるが、世間における関心がこのように高いのは不思議と言える。このような注目を浴びている素数は、一体世の中に役に立っているのだろうか?唯一、インターネットセキュリティー上の暗号で、素数による素因数分解が利用されているのは知られている。しかし、これは素数の計算が困難であることを逆手に取った活用で、積極的に役立っているとは言えない。この暗号以外に、素数が活用されている事例を探すべく、特許の世界から、素数が利用されている発明を調査した。分析には、VALUENEX株式会社が提供するテキストマイニングによる俯瞰ツールTechRadarを用いて米国特許公開公報から分析を行った。


2016.03.02.

+ ネコノミクスとネコテクノロジー

2月22日は「猫の日」である。猫の日実行委員会が1987年に制定したとされるこの記念日には、2016年の今年も全国各地で様々な猫に関するイベントが開催されたという。例えば一般社団法人ちよだニャンとなる会が主催した「ちよだ猫まつり」には、悪天候にも関わらず2月20、21日の2日間で予想を上回る約12,000人の来場者があったようだ。
 このイベントの盛況に象徴されるように、今日本では空前の猫ブームが起きている。その経済効果は「ネコノミクス」と呼ばれ、関西大学の宮本勝浩名誉教授の試算によると年間約2兆3,000億円に達する。また、一般社団法人ペットフード協会の調査によると、ペットとして飼われている数として長年最も多い犬が2012年以降減少傾向にあるなか、猫は横ばいの傾向にある。今年中に猫が犬を逆転するのではないかとの報道もある。
 猫ブームの要因としては、高齢化の進展によりペットとして飼う際に犬よりも手のかかりにくい猫が好まれるようになったというものや、犬好きは種類によって好みが別れるのに対し、猫好きはどのような種類の猫でも好きであるため、SNSや動画サイトなどの普及による猫の話題の共有が人気を後押ししているといったものが挙げられている。
 このような巨大な経済効果をもたらす猫ブームだが、企業は猫に関してどのような技術開発を行ってきているのだろうか。本レポートでは、猫に何らかの関連のある特許情報を分析し、猫に関する主な技術開発の内容と近年のトレンド、猫ブームの背景とされる高齢化などと関連した技術を明らかにした結果を紹介する。


2016.02.17.

+ 鴻海精密工業はシャープを救済できるか

シャープの救済を巡る駆け引きが再び世間を騒がしている。産業革新機構が提示する3,000億円に対して、台湾の鴻海精密工業(以下、ホンハイ)が7,000億円で経営権を取得するとし、シャープの現経営陣が揺れているのである。2012年にシャープが経営危機に陥った際は、液晶事業の共同経営相手としてホンハイに出資を打診し、ホンハイはシャープの先端技術が狙いとしているもとして交渉が進められたが、両社の中長期戦略に違いがあり、交渉は前に進まなかった経緯がある。そして、この4年間、ホンハイは着実に事業を拡大し、シャープとの交渉における立場が完全に逆転してしまった。両社の事業およびその強みについて、保有技術を基に検証するため、米国登録公報を対象にして、VALUENEXのTechRadarを用いて俯瞰解析を行った。


2016.02.10.

+ バイオマス燃料の技術遷移

我が国の電力エネルギー供給では、その90%近くが化石燃料によってまかなわれている。これは風力、太陽光など自然エネルギーの導入を積極的に進めているドイツ、カナダに比べ、依然高い割合で使用しているといえる。 この化石燃料のほとんどを日本は海外より輸入しており、多くを中東国に依存しなければならない。そのため政治情勢の変化に左右され安定した供給が難しい。更に化石燃料の使用は温室効果ガス排出等の環境負荷が大きい。そのため国内でのエネルギー生産が求められており、中でもバイオマス燃料は環境面、安全性を顧慮した代替エネルギーとして期待されている。 従来のバイオ燃料にはトウモロコシ、サトウキビ、トウモロコシ、油ヤシなどの栽培作物系と、生ごみ、下水汚泥、家畜糞尿等の廃棄物があげられていたが、近年では、微生物による燃料生産に関心が高まっている。例えばミドリムシ培養技術で知られるバイオベンチャー「ユーグレナ」が、横浜市や全日空などとともに「国産バイオ燃料計画」を発表した。同社は、世界で初めてミドリムシの屋外大量培養に成功し、「2020年にバイオジェット燃料を使った航空機の有償フライト、次世代バイオディーゼル燃料を使ったバスの公道走行」をうたっており、このミドリムシを用いた次世代燃料は世界も注目する技術であると言われている。