2016.02.03.

+ 新たなる課題“乗り心地性能”に挑戦するタイヤメーカー

2016年2月1日、ブリヂストン(5108)が無意識に溜まる「疲れ」を軽減するタイヤとして、「プレイズPXシリーズ」を発売した。従来、タイヤに求められる性能としては、走行安定性、低燃費、耐久性、ウェット性、静粛性、ドライ性能、乗り心地といったものが中心であった。そうしたなかで、ブリヂストンは新しいコンセプトとして、実際に運転を行うドライバーを意識した製品を販売する。ドライバーの負担を軽減するものとして、ハンドリングにおいてストレスとなる左右へのふらつきを防止した操縦性の向上、またミニバン向けには重量によるすり減りが大きく、ふらつきの原因となるタイヤの内側部分の剛性を上げ、耐偏摩耗性を向上させている。 このように日本国内では最も成熟した市場のひとつとされるタイヤ業界において、新たな商品展開をするにあたり、一つの課題に限らず、複数の課題を対応した製品開発により、新しいコンセプトを打ち出す時代となりつつあることが推測される。そこで、近年のタイヤ業界においてどのような課題が発生し、また特定の解題解決に取り組む企業が存在するのかを、弊社の特許俯瞰ツールよる調査を試みた。


2016.01.27.

+ トレーサビリティ向上のための技術的アプローチ

産業廃棄物処理会社が食品廃棄物を不正に転売した事件が報じられている。この会社は、本来は廃棄すべき食品を横流しし、製品として流通させたとのことである。食の安全を脅かす事件として、企業や消費者に動揺を与える結果となった。この事件に関し、食品の廃棄の過程がトレーサビリティ(追跡可能性)の制度の対象範囲に含まれていないことが原因として指摘されている。また、こうした食品廃棄物を製品として流通させたこと自体が、トレーサビリティが不十分であることを示している。こうした事件が報じられ、安心できる食品を選びたいというニーズが改めて社会的に意識されると予想されるが、現代の複雑な流通経路にあって、あらゆる食品のトレーサビリティを確保することは、技術やコストの面からも困難があると考えられる。 食品の安全性に対する要求は、トレーサビリティの確保された食品の付加価値を高めることにもつながる。2015年12月に最初の登録が発表された地理的表示保護制度も、こうした現代のニーズを反映している。こうしたトレンドから、コストを抑えながらもトレーサビリティを向上するような技術が注目されていくものと考えられる。 そこで、トレーサビリティを確保するための技術に関する技術開発動向を知るため、関連する日本国公開特許公報を収集し、弊社の提供する特許解析ツール TechRadar Vision (テックレーダービジョン)により俯瞰レーダーを作成し、分析する。


2016.01.20.

+ 二度目のブームを迎えたバーチャルリアリティとプレイヤー

バーチャルリアリティの製品化が活発になってきている。米国ラスベガスで行われたコンシューマエレクトロニクスショー(CES)ではバーチャルリアリティに関連する製品が多く展示されていたとのニュースが流れた。実際の製品でも、韓国サムソンは2015年末にGear VRを発売しており、またソニー・コンピュータエンターテイメントは2016年にPlayStation VR用に100以上のタイトルを発表するとしている。 バーチャルリアリティはコンピュータを用いて人工的に現実感を作り出す技術であり、その歴史は1960年代まで遡れるという。また日本では1990年代に一度バーチャルリアリティブームがあったが、一度衰退している。その当時に比較して、バーチャルリアリティに関する技術はどのように変化してきたのか。ここではとくに日本国内でのバーチャルリアリティ技術の推移について、VALUENX株式会社が提供するXLUSTechRadarを用いて国内特許公報をもとに分析を行った。


2016.01.13.

+ 巻き返しをはかる国内ブラジャー開発

国内でのブラジャーの普及は、終戦によるこれまでの和服から洋服への流れを受け、1949年当時の和江商事(現、ワコール(3591))によるブラパッド、それに続くナイロンブラジャーの大ヒットで普及が始まっている。だが、近年は、ブラジャー市場が縮小しており、巻き返しが求められている。その中で現れたのが2010年頃のノンワイヤブラである。これはワイヤによる締め付けのない付け心地の良さを求めた商品である。このような近年におけるブラジャーの国内での開発状況を、VALUENX株式会社が提供するテキストマイニングによる俯瞰ツールXLUSTechRadarを用いて国内特許から分析を行った。


2016.01.06.

+ 特許ポートフォリオからみた石油元売り業界の再編

2015年11月に石油元売り国内2位の出光興産(5019)と同5位の昭和シェル石油(5002)が両社の経営統合に基本合意した。2014年12月に両社の交渉が報じられた際は、両社の製油所の近接性が低く拠点の統廃合による効率化が行えないことや、出光の「大家族主義」により統合後の人員の集約が行えないことなどが課題として指摘されていた。また、特許ポートフォリオの観点で統合を見た場合、両社の技術的な補完関係は大きくないとみられることは弊社も指摘した(弊社レポート「特許ポートフォリオからみた出光による昭和シェル石油買収」参照)。もちろん、本統合により生産量や生産効率の面で向上が見込まれるばかりではなく、石油元売り国内首位のJXホールディングス(5020)に売上高で大きく迫ることができることは当時の報道でも強調されていた。 ところが2015年12月には、そのJXと同3位の東燃ゼネラル石油(5012)が両社の経営統合に基本合意した。両社の合計売上高は、出光と昭和シェル(約7兆6000億円)の2倍近い約14兆3000億円に達する。出光はJXに規模の面で再び大きく引き離されることとなりそうだ。 さて、このように再編の波が押し寄せる石油元売り業界だが、統合の背景には石油需要の減少がある。本レポートでは、過去に弊社レポートで取り上げた出光、昭和シェルも含め、統合により生じうる技術的補完関係や、今のところ再編に関わっていないコスモエネルギーホールディングス(5021)の強み技術領域について明らかにし、石油需要の減少に抗いうる原動力の有無について考察する。