世界的な課題に挑む環境技術 プラスチック廃棄物処理の技術開発動向

2017年8月2日

はじめに

米ジョージア大学の研究チームの推計によると、1950年以降に世界で約63億トンのプラスチックごみが発生したという。この期間のプラスチック製品の製造は約83億トンであり、その約4分の3が、ごみとして廃棄されている。膨大なプラスチックごみの発生は世界的に問題となっている。一方、日本では廃プラスチックの利用率が8割を超える。この理由としては、リサイクル意識の高まりのほか、日本のプラスチック廃棄物の処理技術の高さがあると考えられる。世界的な問題に日本の技術が貢献できる可能性が想定される。

 そこで、日本のプラスチック処理技術の技術開発動向を知るため、本レポートでは、プラスチック廃棄物の処理に関連する日本国公開特許公報を収集し、弊社の提供する特許解析ツール TechRadar Vision (テックレーダービジョン)により俯瞰レーダーを作成し、分析する。

特許に見るマクロ動向

本レポートにおける分析では、特許分類テーマコードに、プラスチック廃棄物の分離・回収・処理に相当する「4F401」または「4F301」を含む、1993年以降に公開された日本国公開特許公報(公表公報・再公表公報を含む)を分析対象とした。特許検索の結果、約9,000件の特許情報が収集された。
 公開件数推移は、1993年に約200件であったが2002年までに700件超まで増加した。その後減少に転じ、2012年以降は件数が下げ止まり100件超の横ばいで推移している。プラスチック廃棄物の処理全体で見ると、研究開発のピークが過ぎた成熟技術だが、引き続き新たな技術を開発し続けるプレイヤーも存在すると考えられる。
 収集した特許を出願人別に見ると、パナソニック(6752)、東芝(6502)、JFEエンジニアリング(ジェイエフイーホールディングス(5411)の事業会社)といった企業が出願件数の上位である。以降、件数上位企業は素材メーカーのほか電気機器や輸送機器のメーカーなど多彩である(図1)。なお、素材メーカーでもプラスチックが主力製品であるとは限らない。プラスチック廃棄物の処理では、プラスチックを素材として利用するメーカーが技術開発の主要なプレイヤーになっていると考えられる。


図1.プラスチック廃棄物処理技術の主要な特許出願人