廃熱駆動熱音響技術を利用した大型インフラ用センサ

2017年7月26日

はじめに

熱音響技術は、エンジンの廃熱などの熱源から空気などの媒質の温度差を生じさせ、媒質の振動運動すなわち音響現象を導く技術である。この音響現象である運動エネルギーから電気エネルギーなどに変換することにより、廃熱からの有効なエネルギー回収装置となる。更には、発生した音響を蓄熱器に通し、蓄熱器の一方の熱を奪うことにより冷却装置としても利用可能である。
この熱音響現象は、古くは、日本では岡山市吉備津神社の「鳴釜神事」、欧州でもパイプオルガン修理の際にパイプが音を出す現象として知られていた。この現象が、近年、可動部がないため故障が少なく、かつ廃熱からエネルギーを取り出す技術へと発展して注目を浴び始めている。
本レポートでは、この熱音響の技術について、最近の動向を調査すべく、国内で公開された特許公報を元に分析を行った。分析には、VALUENEX株式会社が提供するテキストマイニングによる俯瞰ツールTechRadarを用いた。

2.分析母集団

 電子化(1993年)以降の国内公開公報において、発明の名称、要約、請求項中のいずれかに、「熱音響」あるいは「熱電気音響」の記載のある全336公報を分析対象として採用した。収集した公報の公開年別件数推移を以下に示す。通常は数千件の母集団であることが多いが、全件数が少なく年別件数の揺らぎがやや大きいものの、2000年以降、ほぼ一貫して増加傾向である。2017年は集計の途中であるため、参考データとして破線で示してある。国内公開公報が近年全般的に減少傾向にある中、熱音響に関する技術が注目を集め始めていることが分かる。


図1.熱音響 国内公開公報件数推移