村田製作所・TDK 特許ポートフォリオから業績についての言及可能性

2017年6月28日

はじめに

日本を代表する電子部品メーカーである村田製作所(6981)とTDK(6762)は、両者ともにスマートフォンに代表される情報通信技術市場をメインとするも、業績には大きな差が出てきている(表1.)。過去の特許ポートフォリオを分析することから業績についての言及可能性を探る。

表1.村田製作所・TDKの直近5年の売上高・営業利益率推移       

単位:億円                                       

(出所:各社IR情報を元にVALUENEXで作成)
*TDKの2017年3月期の営業利益のうち1,444億円は事業譲渡益による。

2社の特許ポートフォリオ分析

村田製作所とTDKの2008年以降の日本国公開特許件数の推移を整理する(図1.)。実際の精緻な分析を進める場合は両企業ともグローバルでビジネスを展開かつM&Aを繰り返しており、特許もグローバルで分析していく必要があるが、今回は簡便な分析の為、日本国公開特許件数のみで比較・分析を進めた。村田製作所は2008年以降右肩上がりで2011年以降は1,000件/年水準を維持している。一方TDKは2008年以降は減少傾向にあるといえる。
次に、収集した2社の2008年以降の日本国公開特許について、VALUENEX株式会社が提供するTechRadar Visionを用いてクラスター解析を行い、特許ポートフォリオの俯瞰図を作成した。その結果を図2に示す。本解析では特許全文の相互の類似性に基づき特許の可視化を行っている。そのため、内容の類似性が高い特許は近くに、類似性が低い特許は遠くに配置される。各プロットは、似た特許をひとまとめにしたクラスターを表しており、サイズはその中に含まれる特許数に比例している。また軸の方向には意味は持たせておらず、全体の配置が最適になるように計算している。
当俯瞰図から村田製作所の存在する領域にはほぼTDKも存在しているように見える。一方TDKのみが密集している領域(HDD関連、光学ドライブ関連、磁性体)も確認できる。これだけを見るとTDKのほうが領域を広げているように見える。


図1. 2社の日本国公開特許件数推移


図2. 村田製作所とTDKの特許俯瞰図

次に両社の技術開発の推移を、2008年から2012年と2013年から2017年という範囲でコンター図によって比較した結果を図3から図6に示す。図中、赤箇所は特許の件数が多い領域を示す。
まず村田製作所についてコンター図の比較から見て取れることを述べる。主力商品であるコンデンサ領域に継続注力していることが確認できる。また主にスマートフォン向けであろう高周波部品領域からの付加価値のより高い高周波モジュール領域へ特許件数がシフトしていることが確認できる。その一方で、ワイヤレス給電や電池といった領域の件数の増加も確認できる。
次に、TDKについてコンター図の比較から見て取れることを述べる。全体として件数は減少傾向であるが、特に光学ドライブ関連・HDD関連セラミックコンデンサ領域の件数の減少が顕著なことが確認できる。光学ドライブ関連・HDD関連領域の減少は記録メディアとしての媒体のSDDやフラッシュメモリーへのシフトという市場環境の変遷および技術の成熟性より件数が減少していることが推察される。一方で電池領域への注力は確認でき、新たな事業領域として電池への注力が進んでいる様子が見える。

図3.村田製作所 2008年~2012年       図4.村田製作所 2013年~2017年


図5.TDK 2008年~2012年         図6.TDK 2013年~2017年